目次
第1部 響きの帝国―漢代の楽制と祭儀(古代中国の礼楽と巫覡―漢代礼容の儒学をてがかりに;前漢「郊祀歌」十九章の祭祀空間と政治空間;前漢時代の宗廟と楽制―「安世房中歌」十七章と承天のイデオロギー;前漢末の楽制改革と民間音楽)
第2部 天下大同の楽―隋の楽制改革とその帝国構造(楽制改革の歴史的前提―流亡する伶人;北魏の雅楽改革―『魏書』楽志を中心に;雅楽の制作と楽律の調整;燕楽七部伎楽と四夷楽の編成;北狄楽の編成―鼓吹楽の改革;散楽と正月十五日の民間習俗―隋の楽制の民衆的基盤と帝国構造;小結―隋の楽制改革とその諸結果)
第3部 隋唐の楽制と日本雅楽の源流(隋の楽制改革と倭国;雅楽が来た道―遣唐使と音楽;平等院鳳凰堂の音楽―西涼楽始末)
著者等紹介
渡辺信一郎[ワタナベシンイチロウ]
1949年1月京都市生まれ。1976年3月京都大学大学院文学研究科東洋史学専攻博士課程単位修得退学(文学修士)。1976年5月京都府立大学文学部講師、助教授・教授をへて2011年4月京都府立大学学長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おっとちゃん
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儒教の祭祀に礼楽が必須だったこと。征服や朝貢で敗者の音楽、楽人集団が王朝に吸収されるため音楽の種類の多さは王朝の徳を示すこと。隋には倭国楽もあったこと。音楽の音階は笛の長さで決まるため度量衡同様王朝のごとに異なることと。(呂律が回らないの呂律はここから来ていたらしい。)隋唐で雅楽とは宗廟などの祭祀用の音楽であり、日本には輸入されなかったこと。日本に入ったのは宴会用の舞楽であること等々あるが、多くの音楽を皇帝が作るなど王朝にとって音楽の重要性が印象深い。2014/01/16
水紗枝荒葉
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中国音楽に関する本、というよりは、音楽への国家的取り組みである楽制を主題とした本。中国国家史の一部を担うゴリゴリにハードな書きぶりなので、文化史を期待している人は注意。音楽に関してこのような語りが可能なこと自体が古代中国・儒教思想の特殊性を示している。2024/10/09