内容説明
これからある女性の生涯でただ一度の恋の物語をしようと思う―。コレット晩年の名作短篇四篇収録。
著者等紹介
コレット,シドニー=ガブリエル[コレット,シドニーガブリエル] [Colette,Sidonie‐Gabrielle]
1873年、ブルゴーニュ地方サン=ソヴール=アン=ピュイゼー生まれ。20歳で小説家ウィリーと結婚、パリに移る。ウィリーの勧めで小説『学校のクローディーヌ』(1900)を執筆、好評を博す。離婚後、自活のためにパントマイム役者やミュージック・ホールの踊り子として舞台に立ち、活躍。1954年没
弓削三男[ユゲミツオ]
1922年生まれ。九州大学文学部仏文科卒業。ストラスブール大学、パリ大学留学。早稲田大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
23
「軍帽」恋の始まりは駐屯部隊の中尉が文通相手を求める記事に、小説を書くほど文才のあったマルコが応募したことだ。相手アレックス・トララールと、マルコは親密度を高めていくが、気がかりは二人の年の差。そして、彼女のたった一つの行動が恋の行方を決めてしまう。おしゃれもしない、地味な中年女性が、恋を知り変わっていく姿を、男性陣は最初から“いい年の女が恋に溺れて滑稽だ”と揶揄する。意地が悪い。コレットは同性として応援する気持ちはあるものの、彼女でさえも、若干皮肉を込めて彼女の様子を述べている。2024/06/07
ゆかっぴ
3
「緑色の封蝋」が好き。子供でもない、大人でもない少女の秘密めいた感情や憧れなどがつまっているようでひっそり楽しみたい感じがよかった。「軍帽」もよかったです。2015/05/26
Urara
2
コレットの作品は通俗小説だ。だがそれで何が悪いのだろう。映画でも舞台でもない、小説だからこそ描ける、めくるめく恋のときめき。しかし、それを皮肉で醒めたまなざしで見つめているのもまたコレットだ。十八歳の頃読み、やられちゃうんだよなあ、これ、と思いつつ書店で手にとって、やっぱりやられてしまった。当時と違うのは、もうこっそり読む必要はない、というその一点のみ。むしろあぶないのはアラフィフだと改めて思う『軍帽』。2018/06/01