内容説明
幕末の諫早に生きる少女の瑞々しい視線、潰走の船路に幻出する不知火、篭城の衆の鬨―故郷・諫早の歴史を繙き、のびやかな筆致で新境地となった、傑作小説群。
著者等紹介
野呂邦暢[ノロクニノブ]
1937年、9月20日、長崎市岩川町に生まれる。1945年、諫早市にある母の実家に疎開。8月9日、原爆が長崎市に投下され、長崎市立銀座小学校の同級生の多くが被爆により亡くなった。長崎県立諫早高等学校を卒業後、様々な職を経て、19歳で自衛隊に入隊。入隊の年、諫早大水害が発生。翌年の除隊後、諫早に帰郷し、水害で変貌した故郷の町を歩いてまわり、散文や詩をしたためる。1965年、「或る男の故郷」が第21回文學界新人賞佳作に入選(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Voodoo Kami
5
一気読みしたい本とゆっくり味わいたい本があるとすれば、これは間違いなく後者。1ヶ月かけて少しずつ読みました。第4巻までとまったくテイストの違う時代小説集。野呂さんの現代小説に登場するような鬱屈した男主人公ではなく、野呂さんの精神を写し取ったかのような少女たちの目から描かれる幕末、戦国時代の諫早。「落城記」で描かれる、向田邦子さんも見に行った楠を見に行ったり、野呂さん終焉の家も訪れ「菖蒲日記」で志津が暮らした場所への思いをはせました。自分が住む地域の歴史にここまで興味を抱くようになったのも野呂さんのおかげ。2015/08/07
げんごろう
1
内容が7割ぐらいしか理解できないのに、面白かった。 なぜだろう。不思議です。 判らない言葉があっても、話の内容が想像できて、それが面白いのだろう。 それ程、文章がうまいということだと思う。2017/10/13
7kichi
0
かつて旅先の古本屋で偶然発見した一冊の文庫本。車中で夢中になって読んだのが諫早菖蒲日記だった。やっぱり、何度読んでもいいなあ。2015/05/11