内容説明
ケミカルな陶酔の中に浮かぶ透明で残酷な世界。絶筆となった「ぜったい退屈」ほか初の単行本化作品4点を含むSF短編集。
著者等紹介
鈴木いづみ[スズキイズミ]
1949年7月10日、静岡県伊東市に生まれる。高校卒業後、市役所に勤務。1969年上京、モデル、俳優を経て作家となる。1973年、伝説となった天才アルトサックス奏者阿部薫と結婚、一女をもうける。新聞、雑誌、単行本、映画、舞台(天井桟敷)、テレビなど、あらゆるメディアに登場、その存在自体がひとつのメディアとなり、’70年代を体現する。1986年2月17日、異常な速度で燃焼した36年7カ月の生に、首つり自殺で終止符を打つ
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感想・レビュー
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りっとう ゆき
4
[再読] 冷たく、乾いている。憂鬱や無気力なんかがドライアイスのチップみたいにちりばめられてる。古い近未来SF映画みたいなちぐはぐな映像が浮かんでくる、感覚的な世界や言葉、シニカルで、へんてこりんだけど、くせになる、いづみSF。
びっぐすとん
2
図書館本。三浦しおんさんの著書で紹介されていたので読んでみた。著者が自殺してしまったと聞いていたのでそう思うのかもしれないが、全体に生への執着が無く、人生にやけっぱちな感じと母親へのコンプレックス、愛は不確かで頼りにならないもの、という感じを受けた。「ぜったい退屈」は近未来のSF設定だが、感情の麻痺・鈍化という、薄ら寒い世界で非常に怖い。どの作品も著者自身の心理状態が現実と非現実の区別が曖昧なのかと思うほど危うい感じだった。正直この本は自分の好みじゃないが、今まで読んだことが無いものを読んだ実感はある。2016/08/06
skellig@topsy-turvy
2
どうしてこの人の書くものにこうも惹かれるのかなあ。2012/08/20
鏡子
2
”愛と云う物は、安住できる建物ではないのだ。毎日、ぼろぼろと壊されて行くから、毎日努力して作り上げていかないと、いつか形だけになってしまう・・・”「離婚裁判」面白かった!もう、いづみと薫そのまんま。いづみは、小説の中だけでも、夫の前で死んで見せたかったのかなと思った。「ぜったい退屈」は脳に快楽を流し続ける装置をつけたら、もう何も怖くないという話。そんなの、ぜったい退屈。2012/06/23
メイ&まー
2
シニカルで乾いた感じのSF集。低温で雰囲気と余白を楽しむような、ちょっと漫画的なお話だなと思った。岡崎さんの解説を読んでてさらにそう思う。読みにくいし苦手なんだけど、ところどころぎくっとするような描写があって素敵でした。次彼女のを読むならエッセイがいい。2012/01/15