推薦文、作家による作家の―全集内容見本は名文の宝庫

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  • サイズ B6判/ページ数 320p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784892194528
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

全集内容見本に寄せられた“推薦文“を一冊に。川端康成が梶井基次郎を、村上春樹が吉行淳之介を、など84作家108篇収録。かつて文学全集華やかなりし頃、その宣伝物たる<内容見本>も百花繚乱をみせた。捨てられる運命のパンフレットを探し出し一堂に会してみれば、驚くべき文化遺産がひろがっていた!
文学者の評伝を読むことが好きな僕は、自分でも一冊書いてみようと思いたったことがあった。選んだ相手は菊池寛。
大江健三郎(『菊池寛全集』)
小川国男の作品には、上質な洋酒のようなさらさらとした切れの良さがある。〈中略〉わたしが単に上質な洋酒などに惹かれるはずがない。漬けてある蝮に惹かれているのだ。(『小川国男作品集』)
ある時間が来ると吉行さんは「ま、今日はこのあたりで」という感じで消えてしまい、あとには読者が(あるいは僕が)ぽつんと残される。 村上春樹【『吉行淳之介全集』】
推せんどころか読まねば手遅れだ。愛読し給え。手にして自慢し給え。君の本だ。 淀川長治【『植草甚一スクラップ・ブック』】
全集内容見本は名文の宝庫。作家が作家に寄せた“推薦文”84作家108篇収録。

山田風太郎『漱石全集』、富岡多恵子『荷風小説』、川端康成『<決定版>梶井基次郎全集』、永井龍男『吉田健一著作集』、井上ひさし『藤沢周平全集』、井上陽水『色川武大 阿佐田哲也 全集』、村上春樹『吉行淳之介全集』、島田雅彦『開高健全集』、塩野七生『山崎正和著作集』、村上龍『<決定版>坂口安吾全集』、多和田葉子『大庭みな子全集』、高橋源一郎『<新編集・決定版>石川淳全集』大江健三郎『菊池寛全集』、円地文子『小林英雄全集』、丸谷才一『ゴーゴリ全集』、平野啓一郎『<決定版>三島由紀夫全集』、萩原朔太郎『<普及版>芥川龍之介全集』小池昌代『立原道造全集』、谷川俊太郎『草野心平全集』、田村隆一『金子光晴全集』、吉本隆明『小川国男作品集』、徳田秋声『二葉亭四迷全集』、井伏鱒二『永井龍男全集』、安岡正太郎『井伏鱒二全集』、吉本ばなな『吉本隆明全集』 ほか

中村邦生[ナカムラクニオ]
編集

内容説明

かつて文学全集華やかなりし頃―その宣伝物たる“内容見本”も百花繚乱をみせた。捨てられる運命のパンフレットを探しだし一堂に会してみれば、驚くべき文化遺産がひろがっていた!84作家、108篇。

目次

1(懐しい漱石(山田風太郎)『漱石全集』岩波書店
荷風の女(富岡多惠子)『荷風小説』岩波書店 ほか)
2(宇宙論的な正確さ(大江健三郎)『草野心平全集』筑摩書房
菊池寛自選の全集に(山本有三)『“定本”菊池寛全集』中央公論社 ほか)
3(フローベール全集刊行について(井上靖)『“復刊”フローベール全集』筑摩書房
今日、プルーストを(中村真一郎)『プルースト全集』筑摩書房 ほか)
4(大輪の花(曽野綾子)『宇野千代全集』中央公論社
匂い(群ようこ)『山川方夫全集』筑摩書房 ほか)

著者等紹介

中村邦生[ナカムラクニオ]
作家。1946年東京生まれ。都市出版社(旧)編集部勤務を経て、立教大学大学院修士課程修了、博士課程満期退学(英米文学専攻)。大東文化大学文学部で比較文学、英米文学、文章制作法などを担当して退職。現在は同大学の名誉教授。主な著作『チェーホフの夜』(『文學界』新人賞受賞作「冗談関係のメモリアル」収録、水声社)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

くさてる

19
作家の全集に寄せられた、ほかの作家からの推薦文を集めたアンソロジー。あくまで推薦文であって解説ではないので、どれもとても短いのだけど、そのぶん濃いエッセンスが感じられる名文ばかりで面白かった。思えばその当人でさえ全集があるような作家が、その全集に推薦文を寄せるほどの思い入れがある作家のために書く文章が面白くないわけがないのでした。2018/11/07

Fondsaule

18
★★★★★ 作家が作家に寄せた“推薦文"84作家108篇収録なのだ。何が一番よかったとか言うつもりはなかったが、でも言ってしまう。円地文子の小林秀雄全集の推薦文「ほんたうの音色を出す名手」 2019/03/09

チェアー

17
全集見本の推薦文とはいいところに着目したなあ。作家とつながりがなさそうな意外な人が推薦文を書いているし、文章も短文という制約があるなかで書いているので磨かれている。ベタだけど、吉本隆明全集へのよしもとばななの文章は心が動かされた。それぞれに作家のいいところに光をあてて書いているので、ちょっと褒めすぎと思うこともあるけどね。2019/01/07

trazom

15
ユニークな本だ。若い頃、自分が読んだ文学全集が並んでいる。鴎外、一葉、漱石、龍之介、梶井基次郎、中島敦、小林秀雄。横光利一や高橋和巳の名前に、懐かしさを覚える。しかし、この本の本当の面白さは、推薦文の書き手の人間性が味わえることだろう。吉本隆明が書く小川国夫と島尾敏雄、丸谷才一が書く森鴎外、ゴーゴリ、吉田健一は、とても面白い。平野啓一郎の三島由紀夫、萩原朔太郎の芥川龍之介、大江健三郎の菊池寛、沢木耕太郎の立原道造など、意外な組み合わせも魅力だ。「全集内容見本は名文の宝庫」という副題に偽りなし。2018/12/01

ココロココ

14
作家の作家による推薦文のアンソロジー。どれもこれも作家への愛情が伝わってくる文章。全集の推薦文が多いので、推薦されている作品を読むまでは至らないと思う。でも、素晴らしい文章に出会えて良かった。2019/12/01

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