出版社内容情報
夢の中の寺田寅彦は「すっぽんが鳴く」という――
大輪の向日葵を投擲する老婆――
殺し屋からの間違い電話――
少年時代の不思議な望遠鏡――
若かりし独身の母と入れ替わる わたし――
旺盛な好奇心が呼び寄せる〈不思議の断章(フラグメント)〉。
少年時代のノスタルジー、あるいは日常の陰影、または夢の奔流……。
エッセイか? 小説か? ショートストーリー19篇。
カバーに丸い穴があき、空が覗く装幀もユニークな、中村邦生最新短篇集。
【目次】
I
残景
駅/断層/自転車/断崖の時間/山の記憶/小さな渦
II
ボルヘスの自画像、そしてジョン・ケージの、さらに……
中軽井沢・桔梗が丘別荘地3―B区画をK氏は買わなかった
マンソンジュ氏の日本滞在―忘却に抗して
契約
III
狸の死骸
安定走行
姫りんご
帰路
インド更紗の漂流
真夏の楽興
IV
向日葵と老女
イグアナの耳
林檎の来歴
買いそこねた望遠鏡
川辺の境界
V
こずえの風
マーク・ロスコへ
表皮体感/オレンジ色のセーター/ブルー・オン・ダークブルー
たまさか
1 ~ 1件/全1件