内容説明
シュルレアリスムの先駆と死後、ブルトンらに発掘された“白い顔の黒衣の男”。澁澤龍彦も訳し愛した珠玉の掌篇「草叢の金剛石」で知られる生前既に畸人の誉れ高い、文学・演劇に淫した男の7短篇。
著者等紹介
フォルヌレ,グザヴィエ[フォルヌレ,グザヴィエ] [Forneret,Xavier]
1809‐1884。別名“白い顔の黒衣の男”。フランス、ブルゴーニュ地方ボーヌの裕福なワイン農家に生まれ、若くして莫大な財産を相続する。1832年頃より文筆活動を始め、戯曲、小説、詩集、格言集など多岐にわたるジャンルの著書を豪華な自費出版で刊行するほか、ヴァイオリンの名手として演奏、作曲、音楽評論も手がけた。死後、長らく忘れられていたものの、アンドレ・ブルトンらシュルレアリストの注目により再評価された
辻村永樹[ツジムラエイジュ]
1978年生まれ。静岡県浜松市出身。早稲田大学第一文学部卒業。現在早稲田大学、群馬大学非常勤講師。19世紀フランス文学を専門に研究活動を行うかたわら、『GQ Japan』『WIRED』などの雑誌をはじめ各種媒体に翻訳、書評、コラムを寄稿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rinakko
5
再読。初読時は不調だったのでもっかい読んでみた。うーん。2017/11/10
刳森伸一
4
退廃的な美を湛える文体を除けば、人物造形、プロット、ストーリーなど、その全てが未熟で、情熱だけが先走り他の要素がついてきていない印象を受ける。また、死が碧い宝石のようにどこか美しく描かれているのは若さの証だろう。しかし、その未熟で若い部分が却って本書の各短篇に魅力を与えていると思う。解説によれば、フォヌレの晩年の作品は平凡だったらしいが、それもむべなるかなと思う。2016/05/15
いやしの本棚
3
大仰な科白や身振り、全体として戯曲のような、著者の演劇への志向が感じられた。読んでいる間、「両眼の間の目玉」などは特に、何だかイラッとしてしまった(^^; 登場人物が自意識過剰すぎる!彼らは、つまり「不器用な男」であった著者の鏡像でもあろうか。澁澤龍彦が訳したことで知られる「草叢の金剛石」は、あまり心に響かず。好きだったのは「夢」、黒い散文詩という感じ。「オロカモノとハープ」は、オロカモノの音楽への純粋な心に泣ける…彼もまた著者自身の姿かと思われ。「パリにて、九時に」は、娼婦アンナの科白がかっこ良かった。2015/08/09
黒猫グリ子
1
愚かな男と愚かな女が悲劇と嫉妬を叫び続ける。他の存在を否定し自らの純愛を命懸けで熱狂的に語る、本当に愛の熱に狂ったように。相手を失うことは当然に死を意味する、現代?の「失恋は時が癒してくれる」と比べ圧倒的に暑苦しい位の熱量、とても素晴らしいと思う。現実的ではないが、現実にそれほどの価値を見出せない時、このような個の熱狂・妄想・錯乱が眩しく輝いて見える。作者が不器用な人生を長く生きた事も、この作品が生まれ150年位経った今では愛おしく感じた。作者に敬意を表したかの様な上質の紙で製本されているのも楽しい。2015/08/27
まんだむ
0
ブルトンたちに絶賛されたってことで読んでみたけど、まあまあかな。「草叢の金剛石」はその前の話までとは、お、違うな、って感じがしたし、澁澤龍彦が訳したくなったのも頷ける。解説でかなりフォルネレのことが知れる。2017/10/26
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