空虚人(うつろびと)と苦薔薇(にがばら)の物語

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  • サイズ A5判/ページ数 39p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784892193866
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

幻想画家・建石修志の挿画を得ておくるドーマルの魔術的小説『類推の山』のなかの美しきメルヘン。双生児の少年モーとホー、高山の頂にある大いなる智慧を与えるという伝説の苦薔薇を探しに…

著者等紹介

ドーマル,ルネ[ドーマル,ルネ] [Daumal,Ren´e]
1908‐44。フランスの詩人・作家・インド学者。両大戦間のパリで前衛グループ“大いなる賭け”を創立。シュルレアリスムに共感しながら運動には加わらず、独自の詩的・形而上的探究をつらぬいた。結核により36歳で早世

巖谷國士[イワヤクニオ]
1943年東京都生まれ。東京大学仏文科卒、同大学院修了。学生時代に瀧口修造や澁澤龍彦と出会い、シュルレアリスムの研究と実践を開始。仏文学者・評論家・旅行家・メルヘン作家、明治学院大学名誉教授

建石修志[タテイシシュウジ]
1949年東京都生まれ。東京藝術大学工芸科VD専攻卒。卒業後作家中井英夫との仕事をはじめ、内外の幻想文学の装丁、挿画を数多く手がける。鉛筆、混合技法、ボックスコラージュ作品等個展、企画展の出品多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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yn1951jp

37
巌谷は、石の中に住み外からは見えない「うつろびと」や虹の色にはない色に光りかがやく「にがばら」は『絵にも描けないもの』だという。しかし建石は描けないはずのそれらを描き、「類推の山」を描く。あとがきも興味深い。「類推の山」と澁澤の「高丘親王航海記」の天竺への旅とのアナロジー。病床で書かれ、著者あるいは主人公が死に至る類似性。途中で途切れた物語は、これ以上に先を描く必要がない旅。大きな物語は小さな物語を繰り返す。私も「非ユークリッド的にして、真実を語る、冒険」に旅立つ夢を見ている。2015/03/24

内島菫

18
建石修志の絵は硬質なようでいて、光源のわからない光を受けて、あるいは発して、どこか夢見るような風合いをたたえている。これが幻想的な印象を生むのだろう。空虚人(うつろびと)は自身が死者のような空虚であるためか、石や氷の中に住みその表面までしか現れることがない。つまり彼らは鏡に映る像のようなものではないだろうか。だから「ちょうど剣が鞘をもち、足が足跡をもつように」、人間はみな山の中に「それぞれ自分のうつろびとをもち、死んでからはそれにはまりこむ」といわれるのだろう。2021/10/31

いやしの本棚

6
もともと『類推の山』の話中話を絵本に仕立てたものということで、短いのですぐ読めてしまう。でもちょっとこれはとても、非常に面白かったので、『類推の山』を読まねば!と思った。空虚人(うつろびと)という象徴(?)が興味深い。建石修志氏の絵も硬質で美しく、このお話にふさわしいと感じた。2014/12/27

保山ひャン

4
ルネ・ドーマルの『類推の山』作中の物語(話中話)を独立させて建石修志の画をつけたなんとも豪華な本。翻訳者の巌谷國士があとがきを書いている。たしかに、この話中話だけ取り出しても、充分に独立した物語として成立しているのがすごいし、もとの『類推の山』のなかで、この話がどうはめこまれているのかも、再読して味わいたくなってきた。2015/02/10

龍國竣/リュウゴク

4
『類推の山』の「話中話」を独立させ、建石修志の絵と併せて一冊の本に仕上げている。絶対零度。そんな表現がぴったりと合う。水色や青、もしくは鉛筆で描かれた硬質な建石の絵が、様々な人間の想像の源泉となった本作を凍らせ、結晶化させているようにみえる。2014/11/12

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