内容説明
片腕を折られた河童は、人間に復讐したく姫神様にお願いする。聞けば、海に遊びに来ていた行楽客の、妙齢のご婦人に気を取られ見つかり、逃げ込んだマテ貝の穴をステッキでつつかれ重傷を負ったのだという。仇討ちに、座敷に大魚の石投魚を放り込んでやりたい…。憑かれたような、結部の大団円!現世と異界を行き来する、鏡花奇譚の面目躍如!鏡花の短篇に、人形作家・写真家の石塚公昭が挑む挿絵本の範疇を超えたビジュアルブック。新大人の絵本!
著者等紹介
石塚公昭[イシズカキミアキ]
人形作家・写真家。1957年東京生まれ。1977年東京クラフトデザイン研究所陶磁器科卒。1977‐79年岐阜県瑞浪市、茨城県高萩市にて製陶業に従事。1980年人形制作、1991年廃れた写真古典技法オイルプリント、1996年人形の写真撮影を始める。実在の人物をモデルに人形(40~50cm)を制作し写真と組み合わせることで、見たことのない風景を現出させる。ロバート・ジョンソンなど黒人ミュージシャン・シリーズ、江戸川乱歩や澁澤龍彦など作家・文士シリーズを展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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はちてん
26
鏡花作品の絵本仕立て。絵ではなく写真です。河童は人形で人物はほぼ実写。企画として面白いと思います。河童といえば、どうしてもこんな感じになっちゃいますね。実際こんななのかしら(笑)(龍之介が描いた河童図、あれが一番印象的だけれど。)あとがきに添えられた鏡花の人形が良いです。ちゃんとウサギもいますよ。2013/11/29
ひなにゃんこ
6
★3.5 人形作家・写真家の石塚公昭氏が泉鏡花の短編をビジュアル化。中を見て気付いたけど『乱歩 夜の夢こそまこと』の人だったか。造形や世界観が合わなかったような記憶がある。その苦手意識が影響して、読み始めは文章がさっぱり頭に入って来なかった。現代文じゃないので難しかったこともある。ほの暗い風景などの写真は、雰囲気があって良かったんだけど、やっぱり人形は粗さが気になるし(でも以前ほどじゃなかった)、何よりも人形と合わせて実際の人間も登場するのが微妙だった。人形ならまだしも人物は興醒め。→2013/10/21
ゆき
5
噂には聞いてましたよ。泉鏡花の作品は難解すぎて分かるものがいるのか。・・・いやはや・・わからんですよ。河童が杖で叩かれた仕返しをする話だったはずなのに・・・なんでか、その敵の人間達が珍妙な踊りを踊る・・・という方向性がもうわからない。河童は何処に?!それって復讐できてるの?しなくていいの?そんなのどうでもいいの?!わかんない。2014/09/15
ビシャカナ
0
怪しく雅でユーモラスな泉鏡花の物語に、存在感たっぷりの人形と、素人役者の写真でよりいっそう怪しく雅にユーモラスに再構成。正直お話はなんのこっちゃよく分からないが、もしかしたらそれが魅力なのかも。2017/08/27