内容説明
二世紀ごろのギリシア・ローマにあっては、霊魂による肉体の統御が宇宙の整合性とのアナロジーとして想定されていた。ヒポクラテスからガレノスに至る医学史と哲学史を背景にし、ガレノスが医学に大いに貢献した解剖と実験を通して、霊魂の意義と働きおよびその存在する場所を探求する姿を追う。本書は、その先駆的な科学精神によるガレノスの医学と哲学を、原典に基づきつつ追求する、我国初の本格的ガレノス論である。
目次
序説 生命思想史の中で
ペルガモンのガレノス
ガレノスの思想の源流
霊魂と自然
統御力をめぐる論議
諸学派の抬頭と抗争
感想・レビュー
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ヴィクトリー
2
ローマ時代の医学者で、その後の医学を1400年も遅らせた、などと言われるほど後世に影響を与えた人物。ガレノス自身は当時としては実証的で論理的な人物で、非難されるべきは彼の後の医学者なのだろうが。本の内容は、伝記と言うより思想の紹介が主で、その源流を知るためにギリシアの諸哲学家の自然思想からおさらいしてくれるので、その辺の復習にはよい。が、話題があちこちに飛んでまとまりに欠け、冗長な感じもしなくは無い。また、直接本文と関係ない古書の写真がやたらと多く掲載されているのも無駄に感じた。2014/07/20