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内容説明
春子は偏屈なおでん屋台の店主である。酒はひとり二合まで、銘柄はひとつ。冷ならそのまま、燗なら徳利に入れて温める。おでんのほかは、梅干の入った白飯にごま塩をまぶした握り飯と、甘いいなりずし。そんなただのおでん屋なのに、いつも立ち寄るお稲荷さんに二度柏手を打つと、知らない世界に飛ばされるようになってしまった。だがしかし、春子は何も変わらない。いつでもどこでもおでんを、客に食べさせるだけだ。おでん屋がただただ訪れた客に、あたたかいおでんを食べさせる。ただそれだけで運命が少しだけ変わった、様々な事情を抱える人々が交差して生きる世界の、ぽかぽかおでん群像劇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わたー
25
★★★★★面白かった。昔ながらのおでんの屋台をやってる春子ばあさんが、異世界人たちの前に一時だけ屋台ごと召喚され異世界人たちにおでんを提供する様と、その後の彼らの生活を描く連作短編集。グルメというよりは人情モノのような話が多く、自然とホロリとくるような内容だった。春子ばあさんのスタンスが、基本的には気のない相槌のみで不干渉を決め込み、悩みを持った人物たちが自分たち自身で問題に向き合っていくというのも、現代知識チートで無理やり問題解決するようなある種の押し付けがましさのようなものがないところが良かった。2023/12/19
和尚
23
こういう場面場面を切り取った優しい話が組み合わさって一つの物語になるのとか好みすぎる。 おでん屋の春子婆さんがきつねの祠に参ると異世界の、ひと時を求める人の元へ。 短編集の群像劇なのですが、国は同じで違う場所の違う人というのがわかり、それが少しずつ繋がっていく。 それぞれの話に味があって、心温まり、おでんのひと時で彼らに感情移入してしまう。 優しさと繋がりで泣ける、良き物語でした。 めちゃくちゃお薦めです! 2024/06/14
しぇん
19
KindleUnlimitedで。神様の使いの狐様に度々異界に連れて行かれるおでん屋さんのお話。シニカルな春子婆さんの対応とおでんに癒されていく人達。一期一会のお話かと思っていましたが、再登場や人物関係がかかれていく展開に。地獄の門が結局何だったんだろう?というのが凄く気になったのと時間軸が偶に不安になる時が2023/09/01
サキイカスルメ
18
家族と友情に涙腺破壊された……終盤の畳み掛けがすごい。 春子婆さんのおでん屋は、異世界の人たちにとって幸運を運ぶ神さまの立ち位置で、主役は異世界に住む老若男女。群像劇ですかね。 どのお話もとても良い! 温かく優しいお話でした2023/12/10
リク@ぼっち党員
11
異世界に転移しておでんを振る舞うだけの話。短編だけれど、それぞれの話に出てくる人物に繋がりがあるタイプ。偏屈ババァは聞き上手。自分の中で考えが整理できなくて、ただ話を聞いてほしい時ってある。そこに温かいご飯と美味い酒があればなおよし。そんな欲を満たしてくれる優しい物語だった。合間に異世界サイドのストーリーがガッツリ挟まってるのもいいアクセントになっていた。ちょっと誰だっけ?となるところもあったけど、繋がった時はグッと来るものがあった。2022/10/30
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