内容説明
権力に抵抗する戦略的無為とは?ルソーのテクストを精読し、緊密に絡み合った文学と政治の権力の構造を暴き、解体する、デリダの高弟による、新たなルソー論。文学/政治の欺瞞に抵抗する、ルソー/マルジェルの戦闘的エクリチュール。
目次
1 嘘トハ寓話デアル、あるいは潔白を打ち明けることによって嘘をつく権利―『夢想』第四の散歩から、『告白』の銘句へ(『告白』の嘘―潔白と不正のあいだで;潔白な嘘つき、誠実な人間、告白された証人)
2 文化の虚構―ジャン=ジャック・ルソーと民主制の政治体(自然、文化、歴史の経済;政治体と虚構の言説)
著者等紹介
マルジェル,セルジュ[マルジェル,セルジュ][Margel,Serge]
1962年、ジュネーヴ生まれ。ジャック・デリダの指導のもと、社会科学高等研究院に博士論文を提出。現在、ローザンヌ大学などで教鞭を執っている
堀千晶[ホリチアキ]
1981年、東京都生まれ。早稲田大学非常勤講師。専攻、現代フランス文学・思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あかふく
1
解釈し、判断することが罪になるような領域。文学が無為になるとき、そこにあらわれるもの。2013/04/16
あかふく
1
「脱構築」派の流れに属し、デリダ最後の高弟でもあるらしいセルジュ・マルジェルによるルソーについての著作。デリダはもちろん、ド・マンやナンシー、アガンベンなどもかなり踏まえているらしい思考は小著であるがゆえにでもあるかもしれないが、いささか難解。ただ、第一部(文学論)に比べれば第二部(共同体論)はかなり分かりやすくなっているような。2013/03/06
wanted-wombat
0
欺瞞という概念を軸に、政治と文学、共同体について論じた書籍のよう。欺瞞とは権力の濫用である、と本文中にあるがその射程は広く、如何せん捉えにくい概念であると思った。同時に重要とされているのが「無為=営みの喪失」であり、これらを用いて文学的かつ政治的なルソーのテクストを検証していく。長くはないが難解で、本当に理解しようと思ったら大分骨が折れそうな書籍。本書においてマルジェルは、バタイユ、ナンシー、ブランショ、アガンベン等の影響があるようなので、彼らの著作を読むことも必要に思う。2013/03/06