内容説明
ナチズム/ホロコーストという負の記憶を自らの作品に据え、イメージの“想起”をうながす“後から生まれた世代”の4人の美術家たち―ボルタンスキー、ゲルツ、ホルン、ジグルドソン。彼らの作品がもつ構造、意味作用の分析を通して美術家たちによる“歴史の表象”への扉をひらく。図版多数収録。
目次
序章(ドイツの記憶論―文化学を中心に;戦後アートによる想起と歴史意識;近年の「記憶アート」研究―視覚表象論による理論化の試み;本書の視角と内容構成)
第1章 痕跡採取(“痕跡保全”のアート;個体をとりまくマトリクス―ボルタンスキーの領分;「捜査/操作」の修辞論;事実とフィクションのはざま)
第2章 標しづけ(“マーク”された都市の空虚;“下からの歴史”と公共芸術;ホロコースト記念碑論争;想起と追悼の標し;ヨッヘン・ゲルツの不可視の記念碑)
第3章 交感(ミュンスターの牢獄―『逆向きのコンサート』;レベッカ・ホルンの“花嫁機械”;ナチズム表象と欲望機械―キーファーの記憶世界;招喚の時空)
第4章 集蔵(集蔵体としてのアート―ジグルドソン『静寂の前に』;コレクションのパラドクス;アーカイヴの擬態と流用;記憶のアルケオロジー;蒐集とジェンダー)
終章 記憶アートが生む“もうひとつの歴史意識”
著者等紹介
香川檀[カガワマユミ]
1954年、東京都に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。現在、武蔵大学人文学部教授。専攻は、表象文化論、ジェンダー論。二〇世紀美術史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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