目次
1 「始まり」をめぐって(疲労について;いかにして共に生きるか;どこから始めるべきか)
2 「イメージ」をめぐって(まなざしについて;「モアレ」のまなざし;イメージの休息―ダニエル・ブーディネの写真;『偶発事』、あるいは落葉拾い;サイ・トゥオンブリ、あるいは脱ぎ落とされたズボン)
3 「教育」をめぐって(教育の余白―ぼんやりとしながら…;セミナー「恋愛のディスクール」を読む)
4 「ロラン・バルト」をめぐって(詩人バルト?;中国のバルト;テクストと実存)
著者等紹介
桑田光平[クワダコウヘイ]
1974年、広島県府中市に生まれる。東京大学大学院人文社会系研究科フランス語フランス文学専攻博士課程満期退学。パリ第四大学文学博士。専攻はフランス文学・美術。現在、東京外国語大学大学院総合国際学研究院専任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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なめこ
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対象をひとつの「イメージ」に固着させることなく語ろうとしたバルトの文章を、語ること、語ろうとすることそれ自体にまつわる「疲労」から、本書は始められる。バルトの「快楽」の裏側にはいつも「疲労」が身を寄せているのだ、という指摘にハッとした。本書におさめられた論考は、いずれも、バルトと「ともに」書かれたものであり、したがってまた、バルトと「ともに」読まれるべきでもある。2017/07/04
rien
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『水声通信』連載時にも拾い読みしていた桑田氏のバルト論。時間を置き、こうして纏められた1冊として通読するとまた違った視界が開けてくる。「偶発事 incidents」「くず ductus」あるいは「疲労」など、バルトの鍵語は同時に本書の織糸のひとつとなり、新たなテクスト関係(モアレ=波模様)を織り出している。要所要所で繰り出される「私にとっては〜です」「で、あなたは?」という問い=応答に開かれた姿勢が印象深かった。2012/03/30