内容説明
“ユニ・パーク”をさらに拡大しようともくろむプラドネ、ポルデーヴの王子をまつる礼拝堂を管理するムンヌゼルグ、元遊園地従業員=私立探偵のプティ・プース、女性の下着をのぞくことを楽しみにする“哲学者”たち、ヤギの皮をかぶり葉巻をふかすサル、テーブルについて食事をするイノシシ、謎の動物飼育家ヴッソワ。野心を持たぬのんきな主人公ピエロは、人々と出会い、ふらふらと流れにのって、坦々と生きていく。『ルイユから遠くはなれて』『人生の日曜日』とともに「知恵の三部作」と呼ばれる、楽天家の主人公が印象的な、おかしなおかしな反‐推理小説。
著者等紹介
菅野昭正[カンノアキマサ]
1930年、横浜市生まれ。東京大学名誉教授、日本芸術院会員、世田谷文学館館長。専攻、フランス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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兎乃
12
1942年の作品。現代フランス文学13人集〈第3〉にも収められています。ジャック・ルーポー『麗しのオルタンス』の作中に何度も引用され、ポルデヴィアの王子事故死エピソードが丸々同じ。章立てに数学的構造があります。ちょっと無気力なピエロが状況に流されるまま仕事を転々。火事だのなんだかんだと妙な出来事がいっぱいあって右往左往。なのに、なんだろう、この、洒落たのんびり感は。私は好きです。2012/10/04
ひとみ
3
浮世離れしたのんびり屋の青年ピエロが状況に流されるように動いている背後では、奇妙な事件が起き人間関係に変動が起きる。しかしピエロはその出来事の殆どを感知せず、仕事を始めては解雇されを繰り返すのだった。遊園地ユニ・パークがある土地を盤に登場人物をコマに見たてた奇妙なゲームを見物するような小説だった。状況は刻刻と変化するが、ピエロが変わらない様子はビリヤードの白い珠のようだった。2013/02/19
ぴゃっぴゃ
1
事件あり陰謀あり、にも関わらずとってものんびりした空気に満ちている。のんびりと言っても、現実離れした出来事が絶妙に散りばめられているためか退屈はしない。風邪で朦朧とした頭にやさしい一冊でした。2012/09/27
shirokuromarble
0
クノーの作品を読むと「時代背景や風俗がわかればもっと理解できるんだろうなー」といつも思う。時代の風を敏感に反映しているところが強みでもあり、弱みでもあるのだろーなー。なんかのんびり青年ピエロの行き当たりばったりの毎日が描かれていました。で、やっぱり落馬した王子は、あの人(兄)なんでしょうかね?2012/12/20
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- 和書
- YUKO MURATA