内容説明
実在の「狂人」たちをテーマに『不正確科学百科事典』を執筆するシャンベルナックとブルジョアの一家、リモン家。二つの世界が交錯し、突飛な「狂人」たちの言行が、破局へ向かう時代の空気を照らし出す。人間の愚かさを根源的に問う、クノーの知られざる傑作。
著者等紹介
塩塚秀一郎[シオツカシュウイチロウ]
1970年、福岡県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了、パリ第三大学博士(文学)。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。専攻はフランス文学・文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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兎乃
17
翻訳の塩塚氏はいつもながら凄い。クノーの隠れた傑作と言われる本書を 果敢にかつ楽しんで翻訳されている。本書は大富豪ジュール=ジュール・リモンの子孫達の物語。娘ソフィが最初に結婚したエドモン・ド・シャンベルナックの弟アンリ・ド・シャンベルナック(リモン家血縁としては遠いw)が、「狂人」たちのアンソロジー『不正確科学百科事典』を、見習い悪魔のピュルピュランを秘書としてこき使いながら編纂・執筆していく物語が主軸だが、そこに胡散臭い政治団体N.S.C.を組織する大富豪の孫娘アニェス・ド・シャンベルナックの話や→ 2013/02/14
圓子
3
現実と虚構の境界を歪ませる作品、好きだなあ。全部が描写されていなくて、読み進めるうちにつながっていく物語も、人間関係もすばらしい。2013/05/13
monado
3
トンデモ論文が逆写像する奇妙な悲喜劇。本物の「物書き狂人」の論文が大量に引用されるため、読んでいて頭がおかしくなりそうになる。そもそもがクノーの経験と重ね合わさったメタ的な物語が、ラストのオチで効いてくるところも良い。2013/03/20
オフィス派の宇宙図
0
勢いで読んだ。混乱しか生まなかった2015/11/23