内容説明
女の視点から男の性をあからさまに描き、フランスでセンセーショナルな話題を呼んだ、バイリンガル作家の過激な最新小説。
著者等紹介
ヒューストン,ナンシー[ヒューストン,ナンシー][Huston,Nancy]
1953年、カナダのアルバータ州カルガリーに生まれる。英語を母語としてカナダやアメリカ合衆国で教育を受け、二十歳のときにパリに留学、ロラン・バルトに師事する。以後フランスに住み、フランス語と英語の双方で旺盛な創作活動を展開している。1981年以降、計十二の長篇小説を発表
いぶきけい[イブキケイ]
1964年、島根県に生まれる。東京都立大学人文学部卒業。実務・文芸翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ハルト
4
反転することで浮かび上がってくるもの。生と性、死。赤外線専門写真家である主人公の、奔放で開放された性の遍歴。老年の父親と義母とともにイタリアを観光中になぞられていく彼女の人生、男たち、家族への愛と喪失の歴史。そして起こるフランスでの移民による暴動。それによりアルジェリア系フランス人な現在の夫との関係に亀裂が走る。女性という性を享受しながらもまた、その性に縛られている彼女。刺激的に女性視点からの男性の性を描きながら、彼女の男性(家族含む)への愛はひたむきと言ってもいいほど、純度の高いもののように思いました。2012/02/05