内容説明
引用はいつ、どこで、なぜ始まったのか?アリストテレスからボルヘスまで、「引用史」をたどり、「現象学」「記号学」「系譜学」などさまざまな観点から、単なることばの反復にとどまらない、戦略的・政治的な実践としての“引用”を分析し、「書くこと」の本質に迫る、画期的なエクリチュール論。
目次
1 引用、その本来の姿―引用の現象学
2 基本構造―引用の記号学
3 引用の前史―引用の系譜学(1)古代の修辞学
4 絶頂―引用の系譜学(2)神学ディスクール
5 テクストの固定化―引用の系譜学(3)近代的引用の成立
6 濁ったエクリチュール―引用の奇形学
この尻尾はこの猫のものではない
著者等紹介
コンパニョン,アントワーヌ[コンパニョン,アントワーヌ][Compagnon,Antoine]
1950年、ブリュッセル生まれ。現在、コレージュ・ド・フランス教授。専攻、フランス文学
今井勉[イマイツトム]
1962年、新潟県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。現在、東北大学大学院文学研究科准教授。専攻、フランス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NICK
1
レポートの資料として流し読み。「引用」また「引用すること」についてその本質を論ずる。またつまみ読んでいきたい。「引用」についてここまで詳細に分析した例は少ないのでは。2010/07/20
路雨
0
「書くことは、常に、再び書くことであるから、それは、引用することと同じである。引用は、それが取り仕切る換喩的な混同によって、読むことであると同時に書くことである。〔…〕引用は、読むことと書くことの根本にある、テクストの最初の実践を表している。引用するというのは、切り貼りという古代的な身振りを反復することなのだ。切り貼りは、紙が、文字を刻んだ表面となる以前の、手書きのテクストや印刷されたテクストの土台となる以前の意味作用と言語コミュニケーションの一形態となる以前の、紙の原初的な経験なのである。」2025/07/03