内容説明
愛を、言葉を、不器用にしか表すことのできない貧しい移民たちの不安そして苦悩。マンハッタンに生きるひとりの女性の孤独や焦燥を繊細な感覚で描いた、アジア系アメリカ作家の自伝的デビュー作。
著者等紹介
ヌーネス,シークリット[ヌーネス,シークリット][Nunez,Sigrid]
1951年、ニューヨークに生まれる。バーナード・カレッジとコロンビア大学に学び、プッシュカート文学賞など数々の賞も受賞している
杉浦悦子[スギウラエツコ]
1947年、福島県に生まれる。東京学芸大学大学院修士課程、広島大学大学院博士課程修了。現在、多摩大学教授。専攻、アメリカ二十世紀文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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刳森伸一
2
パナマ系中国人の父とドイツ人の母との間に生まれ、アメリカで育った作者の自伝的な短篇小説を4作所収した連作短編集。中国人としてアイデンティティにしがみ付く父と、ドイツ人としてのアイデンティティを持つ続ける母、そしてアメリカ人であることを自覚しながらも周囲からは浮いてしまう自分。移民として生活する人々の物語ではあるが、疎外感を感じずには生きられない現代人全てに通底する悲しみが胸を打つ。2022/10/22
きゅー
1
アメリカにて、パナマ系中国系の父と、ドイツ系の母との間に生まれたシークリット・ヌーネスによる自伝的要素が濃い物語4編を収録。家族が異国アメリカで必死に生きようとする生活が描かれる。経済的な余裕のなさが言動の端々に現れ、それがリアリスティックに描かれている分胸にグッとくる。家族の心が離れ離れで痛々しい。死ぬまで心を開かなかった父親の姿は読んでいて辛くなる。自伝的要素が前面に押し出されており、登場人物が客体として描かれておらず、小説としての普遍性に到達していないように感じた。 2011/10/11
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- 球体の海 - 日・露語版