内容説明
「太古の神話はある種混交的な統一体であって、宗教と太古の哲学的観念の萌芽だけでなく、芸術の萌し、わけても言語芸術の萌しも潜ませていた。」著者はまず、今日の代表的な神話理論―レヴィ=ストロース、バルト、グレマスの構造主義、ノースロップフライの儀礼神話論的批評、ユング、キャンベルの心理学主義等々―を詳細に検討したのち、神話の古典的諸形態(宇宙起源論、歳時神話、終末神話、英雄神話等)の構造と生成の理論的、具体的分析へと進み、最後に、二十世紀文学における神話主義(ジョイス、トーマス・マン、カフカ、ガルシア=マルケス等)の考察と位置づけを試みる。プロップ『昔話の形態学』の「再発見」の立役者ともいうべきロシア神話学の泰斗の、広大な視野と緻密な実証性、強靱な理論を兼ねそなえた本書によって、読者は「構造分析と歴史分析の対話」(レヴィ=ストロース)へと誘われるだろう。
目次
第1部 最新の神話理論と儀礼神話論的文学研究(前史;哲学と文化学における「再神話化」;儀礼主義と機能主義 ほか)
第2部 神話の古典的諸形態とそれらの物語フォークロアへの反映(予備的な確認;神話思考全般の性質;神話の働き方の方向 ほか)
第3部 二十世紀文学の「神話主義」(前史;二十世紀の「神話」小説―まえおきとして;アンチテーゼ―ジョイスとトーマス・マン ほか)
著者等紹介
メレチンスキー,エレアザール・モイセーヴィチ[メレチンスキー,エレアザールモイセーヴィチ][Мелетинский,Елеазар Моисеевич]
1918年、ロシアのハリコフに生まれ、2005年、モスクワに没した。文学博士(1968年)。ソ連邦国家賞受賞(1990年)。カレル・フィン大学、科学アカデミー世界文学研究所を経て、ロシア国立人文大学人文科学高等研究所所長を務めた
津久井定雄[ツクイサダオ]
1945年、東京都に生まれる。東京大学文学部卒業後、同大学院人文科学研究科博士課程中退。大阪大学大学院言語文化研究科教授。専攻、ロシア文化論
直野洋子[ナオノヨウコ]
1957年、大分県に生まれる。東京外国語大学卒業後、同大学院修士課程修了。国際基督教大学、立教大学非常勤講師。専攻、ロシア・フォークロア(口承文芸学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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