内容説明
「エル・オトロ」(他者)は「エル・ミスモ」(自身)であり、「エル・ミスモ」は「エル・オトロ」であり…鏡の中のボルヘス、「創造者」の別の顔、自他一如の声が囁くすべて。
目次
不眠
英語による二つの詩
循環する夜
地獄と天国について
推測の詩
第四元素の詩
詞華集で見つけた小詩人に
フニンの勝者スアレス大佐を記念するページ
マタイによる福音書 二十五章三十節
コンパス〔ほか〕
著者等紹介
ボルヘス,ホルヘ・ルイス[ボルヘス,ホルヘルイス][Borges,Jorge Luis]
1899年、ブエノスアイレスに生れ、1986年、ジュネーヴに没した。二十世紀文学を代表する詩人、批評家、小説家
斎藤幸男[サイトウユキオ]
1939年、石巻市に生まれる。狩々博士や斎藤博士のペンネームでも活躍
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感想・レビュー
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白義
15
確かより古いボルヘス詩集では「他者は自己」のタイトルで選ばれていたと思うが、神秘的なタイトルに反して内容はこれまでのボルヘス詩集から漏れた作品の再集成でありいい意味で雑多。強いて言うなら古代ギリシャ自然哲学概念を扱った詩と、ヴァイキングの英雄的な世界が印象に残る。内容では作家と創作そのものの関係とも神学的な人と神の関係の投影とも言える「ゴーレム」が随一。あと、これまでの単行本から漏れたと言われると納得するくらい、どこかで見たテーマの再演奏が多いのも特徴か。解説は全ての詩に簡潔な解説を付けていてなかなか力作2020/12/27
渡邊利道
2
1930年代から60年代まで、これまでの本に漏れた作品を広範に採ったらしい第六詩集。おなじみの人名、書名、地名、エピソード、などを飽きぬ情熱とほとんどペシミスティックですらある不動の精神的な愛で書き続ける。目を悪くした晩年はほとんど詩作に集中したらしいが、ある意味でそのエッセイや小説すらそのエッセンスに単純化したものがこれらの詩篇なのかもしれないとかちょっと思った。2018/12/19
Pezo
0
初心者には注がとても親切でありがたかった。ボルヘスが円環と永遠という言葉を使うとき、それは何を指しているのかということを軸に捉えることで、彼の詩と小説が一気に装いを変えて見えるようになった気がする。「異同の同」が孕む「同の異」と「異の同」がすべての鍵だ。2014/07/23
R
0
祖父が戦士。ボルヘスにもその血が流れている。2011/09/19