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内容説明
ユダヤ人絶滅計画の猛威を前に、人々が自らに課した重い軛と、残された者に刻まれた罪の刻印。ポーランド東部地方、ガリチアの地、厳格なユダヤの伝統が色濃く支配する架空の小村「ヴォリナ」の悲しみ。
著者等紹介
シュペルバー,マネス[シュペルバー,マネス][Sperber,Man`es]
1905年、かつてのオーストリア=ハンガリー帝国領ガリチアの町ザブロトフに生まれ、1984年、パリで没す。個人心理学者アルフレート・アードラーの弟子となり、その協力者としてベルリンで個人心理学の啓蒙と普及の仕事に携わるが、後に訣別。反ファシズム運動と亡命の体験を経て小説家となる
鈴木隆雄[スズキタカオ]
1941年、東京に生まれる。東京都立大学人文学部教授。専攻、オーストリア文学
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感想・レビュー
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Toska
8
ガリツィアの架空の小邑・ヴォリナを舞台に、この地を襲ったホロコーストを主題とする歴史小説。著者自身もガリツィア出身のユダヤ人作家で、反ファシズム運動に参加した経歴を持つ。ユダヤ教の信仰と戒律を厳格に守り、殉教をも辞さない村人たち(彼らは、安息日には戦おうとしなかった)と、世俗教育を受けたレジスタンスの闘士たる主人公との葛藤が本作の眼目。後者は著者自身の似姿なのだろうが、数世紀にわたりユダヤ人としての生き方を守り続けてきた前者のような人々も無下にはできない。ユダヤ人にしか描けないであろう葛藤。2024/01/18