内容説明
ピアニストを夢見たロシアの少年の、運命の悲しみ。“ソヴィエト”という時代に押し流されていった、ひとりの男の人生へのレクイエム。
著者等紹介
マキーヌ,アンドレイ[マキーヌ,アンドレイ][Makine,Andre¨i]
1957年、ロシア生まれ。ノヴゴロドの教育研究所で文献学の教授を務めたのち、1987年渡仏。ソルボンヌ大学博士号取得。フランス語で執筆活動を始める。主な作品に、1995年度のゴンクール賞、メディシス賞、高校生のゴンクール賞の三賞を同時に受賞した代表作『フランスの遺言書』(邦訳、水声社、2000)などがある
星埜守之[ホシノモリユキ]
1958年、米国のペンシルヴァニア州生まれ。東京大学文学部卒業。現在、白百合女子大学教授。専門はシュルレアリスム研究
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感想・レビュー
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きゅー
11
スターリンによる粛清が広がるソ連で、アイデンティティを捨てて生きた青年の物語。いささか情緒的すぎるようには思われたが、世間から疎んじられた人間の陰翳に満ちた人生行路の物語は痛ましい。彼が幸福ではないことは確かだが、そもそも幸福になるための前提すら奪い去られている。このようにして生きる人生も時としてあったのだろう。人から顧みられることなく、時間だけが過ぎ、やがて老いが訪れる。そうしたなかでも、こころの深い底で少年の日の春の風が吹くことがある。それは権力や暴力によっては決して拭い去れない、ひと時の安寧の時間。2015/05/01
Rie
4
内容の重さの割りに、詩的で美しくさらりと描かれている。それ自体は物足りなさも感じさせるが、諦念の灰色に沈んだ人々と、超然とした音なきピアノの調べとの対比は胸に迫る。自らの人生を生きられなかった男の音楽が聴こえてくるかのよう。2014/05/10
そいちろ
1
読んでいてあまりピンとこなかった。ただ文章が綺麗だったので最後まで読めた。2013/07/30
のせなーだ
0
An impressive story ★★★★2014/03/19