内容説明
政治、経済、思想が混沌を極め、ますます方向性を喪失した現代社会。「共同性の意思の力」による「都市化」。日常の生活空間を使用する、真の「総合化」…。まさにいま、革新的な創造者によって新たな「建築」のコンセプトに基づく、コミュニティーとしての「街」や「都市」が実現されようとしている。これまで、「普通」に扱われてきたさまざまな観念の、価値の転向が、この「建築」から始まろうとしている。ふたりのラディカリストによる最も危険な対論。
目次
第1章 「建築」を求めて
第2章 複数の地平に向かって
第3章 意識が発生する場
第4章 都市と身体
第5章 「建築的身体」「建築的人間」の出現
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nanako Matsumoto
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建築士とアーティスト(景相家?革命家?)の対談集。どちらも押されないのがいい。2014/08/08
毒モナカジャンボ
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荒川のミースやコルビュジェに対する考え方が変わっていくのが見どころ。与えられた自然から時空を演繹し、その抽象性を極限化した身体・動きのない場だと最初考えていた荒川に対し、藤井博己は特にミースのファンズワース邸について、そのガラス壁に対し、外側と内側という場の二分法的観念を曖昧な両義性のもとに解消していくプロセスを見、斜路に身体性へのエクスキューズを見る。後半の荒川は近代建築の雄たる前二者への評価を少し改善するが、それでも手厳しい。身体と環境の総合的存在としての人間の探求。意識の親和性の問題が立ちはだかる。2021/03/03