内容説明
ボードレールが再発見し、マラルメが「ベルトランをご覧、そこには全てがある」と語り、モーリス・ラヴェルがピアノ曲作曲の霊感を得、アンドレ・ブルトンがシュルレアリスムの先駆者と呼んだ、フランス19世紀の、不当に忘れられた小ロマン派詩人が残した唯一の詩集本書である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月
10
ボードレールの散文詩集「パリの憂愁」での序文(アルセーヌ・ウーセーへの書簡)から、ベルトランの夜のガスパールについての記憶が甦り、春の古本市にて手にした一冊。モーリス・ラヴェルのピアノ曲にもベルトランの「夜のガスパール(3つの詩)」という楽曲がある。ガスパールとは東方の三賢者の一人(Casper)を意味するが、本書では悪魔(死の象徴)として紹介されている。その散文詩は何処か絵画的、中世悪魔的、幻想的な世界への繋がりとともに、非感動的、寫眞的な一面もあり、特殊な空気感と旋律を持ち合わせた散文詩集でもある。 2016/07/15