内容説明
ユダヤ人として自ら流謫の身を余儀なくされ、《書くこと》の根源的体験を巡る困難な営みを通じて、ブランショとともに、レヴィナスとともに、わたしたちの《砂漠の思考》の可能性を、そしてもう一度《不可能な共同体》の問題を提示する著者の代表作。
目次
書物の閾に
かくて汝は書物の中に存在するだろう
不在なるものの書
生けるものの書
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
57
ユダヤ教徒である著者による、思索のような詩のような本。四散したページの断片を拾い集めたような言葉たちは、物語ることや書くことについて、解釈されることから逃れられない「書物の営み」やその「虚しさ」について、ユダヤ人たることの困難について切れ切れに語ります。それは拾い集めたものを再び無限へ撒いているようでもあるのですが、「おまえを通して、私は徴しの源に遡る」という言葉のとおり、すべてある一点へ、言葉を越えた言葉へ「真の認識」へ「真理たる神」へと向けて積み重ねられているように思われて、不思議な魅力がありました。2020/11/12
いやしの本棚
9
面白い、だが難しい。ところどころすごく心を掴まれるけど、全体としては、一読しただけでは理解の及ばない本のなかのひとつだなあ。再読必須。砂漠の本だと思っていたけど、海のイメージもつよく残った。ともかく哲学的だし、ストイックだし、よくわからないんだけど、突然甘美な表現にぶち当たるのがたまらなかった。”二本の薔薇の対話”の部分とか。2016/09/04
ふくろう
1
こぼれ落ちるような、吹き抜けるような、それでいて何も残さないような。ジャベスの言葉は、まるで砂漠の砂のようだ。絶えず繰り返される問い、砂漠の思考の断片が、わたしの心を無視してわたしの中を吹き抜ける。2010/06/20
ドミニク
0
★★★★★2013/06/19
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