内容説明
2000年以上続いた中国の皇帝政治は、この国の歴史に停滞をもたらし、諸悪の根源ともいわれる。しかしあの広大多様な中国を一つに纏める求心力として、それは厳然と機能してきた。本書は、これまで誰もが踏みこみ得なかった皇帝政治という視座から中国史の本質に迫り、皇帝政治が再生産され続けてきた「カラクリ」をわかりやすい筆致で解き明かす。中国史のみならず今日中国を知るための必読の書。
目次
第1章 始皇帝をめぐって
第2章 皇帝政治の確立
第3章 皇帝政治の展開
第4章 異民族王朝の出現
第5章 隋唐時代の虚実
第6章 宋―君主独裁制の成立
第7章 遼・金・元―征服王朝とは何か
第8章 複雑な性格の明代
第9章 清新なマンシュウ王朝・清
終章 皇帝政治とは何であったか
著者等紹介
梅原郁[ウメハラカオル]
1934年京都市生まれ。専門は中国宋代史、法制・制度史。現在就実大学人文科学部教授、京都大学名誉教授、文学博士
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感想・レビュー
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佐藤丈宗
1
独裁、専制、強権。封建制のひとつのシンボルであり前近代的だとみなされる皇帝政治。では何故、二千年もの長きにわたり中国では皇帝をいただく国家体制が維持されたのであろうか。皇帝政治というテーマに絞って中国の歴史を概観する。二千年の間にも皇帝政治の内実は錯誤を繰り返し、変化し続けてきたという当たり前のことながら、忘れられがちな事実が浮かび上がる。皇帝政治の前近代性ばかりが強調される歴史観自体が西洋的な立場からみた中国史だということがわかる。中国史のしたたかさが垣間見える異色の通史。2016/12/18
フルボッコス代官
1
中国の歴代皇帝政治を総合的に考察した本。中国政治史・中国皇帝史研究の第一歩目として読むべき書だといえる。
Teo
1
秦の始皇帝から清の宣統帝までの中国二千年の歴史を皇帝政治から概観する。とてもよくまとめられており中国史に足を踏み入れて一通りを見渡した後ならそのまとめあげとしてこの本は役に立つ。2009/10/31
でんきひつじ
0
皇帝制度に着目して中国史を概観しつつ、政治機構(皇帝の職責の範囲)や法制度、官僚採用制度(科挙制度等)など皇帝制度を支える柱ともいえる周縁事情の流れを記述している。皇帝個人では秦始皇帝、前漢武帝、王莽、唐太宗、後周世宗、元太祖、明洪武帝、明永楽帝、清康熙帝、清雍正帝が取り上げられている。著者の専攻分野が宋代なだけに第六章、特に胥吏についての記述には力が入っていて抜群に面白い。元朝の評価がかなり辛いのも、その裏返しのようなところがあるかもしれない。2025/02/26