内容説明
中国史学名著『資治通鑑』の著者、司馬光。史学・政治諸分野における活躍を、王安石らの同時代人とともに描く本邦初の専著。
目次
幼年時代
修業時代
仁宗時代―飛躍の時代
国都開封府での十四年―仁宗の晩年と英宗時代
神宗時代―円熟と挫折
政治理念と思想
洛陽での十五年―『資治通鑑』の完成
ふたたび中央へ―残照の日々
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
崩紫サロメ
12
北宋の政治家・歴史家司馬光の評伝。司馬光やそのライバル王安石などの事績を辿るが、王安石の新法に関しては他書に詳しいため簡潔な記述で、新法以前からの王安石と司馬光の価値観の違いを感じさせるエピソード(p.167阿云という女性による殺傷事件への判決)などが紹介されているのが興味深い。また、「学ぶは帝王の首務なり」という考え方が資治通鑑の根底にあるという点、考えさせられた。2020/06/18
さとうしん
4
『資治通鑑』の編纂や新法・旧法の対立といった必須事項を押さえつつ、党争が盛んではあっても対立する相手に敬意を表したという北宋の時代の気風や、欧陽修・文彦博・包拯といった人々との交友、そして新法を廃したのちに新しい改革の企図や手順を提示しえなかったという、司馬光の限界も描いている。2020/06/30
のんたん
3
真面目で頑固で正しいと思ったことは貫き通す意志の強さ。これでもって「資治通鑑」を完成させたのでしょう。「資治通鑑」が時の皇帝のいわば教科書として始まったものだと初めて知りました。2017/12/17
ホンタイ居士
2
司馬光が廉直な官僚で、私も学生時代お世話になった『資治通鑑』を遺した偉大な知識人であることは認めるが、商業が発達する中での「理財」に対応できていたのは王安石だったように思う。ただ筆者も書いてあるが党争といっても直接な利害関係よりお互い正しいとする主義をぶつけ合い、互いのことを認め合う北宋中期の官僚は気持ちがいい。2009/05/22
いもせやま
1
北宋の大政治家であり、旧法党のトップとして王安石と対立した司馬光の伝記。高校時代、世界史で習った司馬光といえば、中国史書の中で最良とされる『資治通鑑』を編集した文化人という一面に反して、王安石の改革に反対して、その後の北宋の政治混乱の原因を作った悪い政治家というイメージだった。しかし、この本で司馬光自身の実直さが伝わってきた。やはり北宋代の政治家はポリシーがあるな。この本を読了後は、著者の師匠である佐伯冨氏の『王安石』を読むのが良いと思われる。2011/05/07
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