内容説明
古代遺産が真実を語る。中国の天下とその文化を統一した始皇帝。彼が築いた古代帝国の全貌を、同時代史料を駆使し、鮮やかに描きだす。
目次
プロローグ―咸陽炎上
第1章 西方の覇者―秦国発展史
第2章 二都物語―即位の前夜
第3章 客臣たちの時代―呂不韋から李斯へ
第4章 六国併合―燕と楚の場合
第5章 皇帝の誕生―秦帝国の統一政策
第6章 誇示される王権―天下巡遊と名山祭祀
第7章 竹簡は語る―秦の法制と社会
第8章 朔北と嶺南―対外遠征の光と影
第9章 法吏・儒生・方士―焚書坑儒の実像
第10章 皇帝のネクロポリス―始皇帝の死
エピローグ―季節風
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
中島直人
4
始皇帝に関する本は何冊も読んだが、始皇帝個人のみならず、時代背景や他国の状況等も含めた総合的な叙述が、バランスよくなされている印象。読みやすく分かりやすい一方で、深い分析がなされていて読み応えもある。このシリーズの他の本も読みたくさせてくれるもの。良かった。2014/11/08
韓信
3
始皇帝の生涯から、戦国~秦代社会までを概観する評伝。睡虎地秦簡をはじめ考古学成果から秦代社会を復元し、厳酷な法治国家というイメージを覆していく過程も、読者を引き込む語り口の巧さも魅力。王権誇示のための巡狩、支配の正当性確立を目的とした対外遠征や旧六国名山の祭祀権回収、愚民観に根差した焚書と、始皇帝の業績を帝国のイデオロギー形成という視点から読み解く傾向が強い。統一後も燕の故地では戦国時代の貨幣が流通し続けたなど、旧六国の地域的多様性にも僅かながら言及している。鶴間和幸以前の始皇帝入門書としては最良の部類か2014/07/31