内容説明
貧農の子として生をうけながら、皇帝にまで登りつめた朱元璋。その生き様を徹底的に浮き彫りにし、希代の人物の素顔に迫る。
目次
1 順帝とその時代
2 元末の反乱と紅巾軍
3 朱元璋の生い立ち
4 紅巾軍の中へ
5 金陵を目指して
6 浙東地方の経略
7 呉王への道
8 最後の決戦
9 中華の回復
10 明帝国の内部矛盾
11 朱元璋の苦悩
12 独裁体制の確立
13 恐怖政治の拡大
14 明王朝よ永遠なれ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
崩紫サロメ
14
朱元璋についての評価は様々にあり、冒頭で紹介されている清の皇帝たちのように皇帝独裁体制を完成した名君という評価もあれば、革命後の中国での農民階級を裏切った転向者という見方もある。本書は直接的な評価を避けながら様々な史料から朱元璋の姿を描き出す。そして、あとがきで書いているように、著者は朱元璋の儒教的秩序を重んじた国家形成を高く評価していることが伝わる。人の生き方は時に大きな矛盾をはらみ、価値観を評価することは難しいながら、絶妙なところまで踏み込めていると感じた。2019/11/25
中島直人
12
(図書館)朱元璋に同情的に、肯定的に書かれている。戦歴を重視されること、即位後の残虐性を重視されることが多い人物との印象だが、比較的、バランスよく描かれているという印象。面白かった。2015/05/01
ピオリーヌ
11
日本史の秀吉、中国の劉邦など成り上がり者の最高権力者は数あれど、長期に渡って存続した統一王朝の創業者の中で、朱元璋の醸し出す際立った個性は否定できない。貧農の家の末っ子として生まれ、17歳にして物乞い同然の托鉢僧として淮西地帯を放浪。盗賊まがいの集団で頭角を現し、江南地帯を平定し王、そして皇帝へ。北伐し元を平らげ、中華を回復。その輝かしい業績と、これまた群を抜く粛清の嵐。功臣をはじめとして数万人が確実に処刑された。皇帝を頂点とした完璧な専制体制を作りだした、その数奇な生涯をたどるに決定的な一冊。2020/10/23
ジュンジュン
7
「その治、唐宋より隆し」(康熙帝)。創業と守成両方を担った朱元璋。帝室の永続を図るのは当然として、その出自(貧農)から民草の安寧を求めたのも理解できる。ただ、民の幸福を追求した結果が、完璧な独裁制の完成とは…。毛沢東の姿が重なる。2020/09/07
富士さん
6
中国史で最も惹かれる人物は?と聞かれたら、この人を選びます。再読。政治とは利益の分配ではなく、負担の分配だと思います。凡百の政治家は、バラ撒きによって名君の名を贖い、蓄えが尽きれば弱い者から潰れるに任せて仲良し集団と自己満足な繁栄を騙るのが世の常です。しかし、この人は一貫して真逆。全体の犠牲となるべきはまず自らの友人、大臣、官僚、地主達であると断固行動で示したのです。それは深謀と狂信、公正と独善がないまぜになった行動であり、この人の中にこそ、中国史の最も偉大な部分と最も醜悪な部分が収斂されて見えるのです。2014/08/01
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