内容説明
少年や少女を主人公にした痛快な冒険談2篇と「アリスが消えた」「送っていくよ、キャスリーン」「階下で待ってて」…粒よりの名作5篇に、本邦初訳2篇を収録する。
著者等紹介
ウールリッチ,コーネル[ウールリッチ,コーネル][Woolrich,Cornell]
1903年12月4日ニューヨークに生まれ、1968年9月25日ニューヨークのホテルで死す。64年の生涯に227の中短篇を書いた短篇の名手だが、長篇ミステリも1940年の『黒衣の花嫁』以後18作発表、特にウイリアム・アイリッシュ名義の『幻の女』『暁の死線』でサスペンスの巨匠としての名声を博した。映画化やTVドラマ化された作品も数多い
門野集[カドノシュウ]
1962年横浜生まれ。一橋大学社会学部卒業
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
120
コーネル・ウールリッチ=「幻の女」のアイリッシュの短編7つ。月とハンカチ、そして上品な女性たちを消すのがお好きなのね。「ガラスの目玉」(Trough a dead man's eye)子供がお父さんのために事件を探す。がんばる。よくやった!すごいよ、きみ。「アリスが消えた」(All at once, no Alice )1人にしちゃダメよ。大切なものは目を離さずに 「送っていくよ、キャスリーン」(one last night)詩のような美しさと哀しみ~夜は暗く…月は彼女と同じように姿を消していた。 2020/12/30
ワッピー
36
読み友さんのご紹介。初ウールリッチ。リリカルなサスペンスを楽しみました。ハリウッドに放たれた黒豹「黒い爪痕」、殺人事件を探す子供「ガラスの目玉」、新妻消失「アリスが消えた」、最後のお別れ「送っていくよ、キャスリーン」、婚約者消失「階下で待ってて」、ギャングの復讐と無垢なティーン「シンデレラとギャング」、1年後の約束「ドラッグストア・カウボーイ」を収録。主人公たちの焦燥感がひしひしと伝わってくるエモさ、筋を通す男たちの矜持!発表は1940年以前ですが、決して古びていない人間の感情煌めく名編ぞろい。おススメ。2021/03/27
たち
32
話の設定は似たり寄ったりなのですが、個々のテイストが違っていて、物凄く話の中に入り込んでしまいます。特に『ガラスの目玉』と『階下で待ってて』『シンデレラとギャング』が面白かったです。2018/03/28
あたびー
29
コーネル・ウールリッチ(ウィリアム・アイリッシュともいう)の短編集です。「あの人どこ行っちゃった?」ネタが3本入っていました。よほど不安症だったのでしょうか?「黒い爪痕」プロモーションの為に黒豹を連れてハリウッドの大通りを練り歩けとエージェントに言われた女優。歯も抜けてておとなしいと言われていた豹は、しかし元気いっぱいで逃げてしまいます。その後豹のせいと思しき連続殺人が…犯人の手口が斬新です。「ガラスの目玉」閑職に追いやられた警察官のお父さんのために、とりかえっこで手に入れたガラスの目玉の謎を追う少年。2021/03/08
藤月はな(灯れ松明の火)
22
「ガラスの目玉」は2巻の少年を主人公にしたサスペンスのように子供だからこそ大切なプライドと勇気が瑞々しく、描かれていて子供の頃の感性を思い出させるような手法に感嘆します。「アリスが消えた」は傑作「幻の女」の試金石のよう。「送っていくよ、キャスリーン」や「アリスが消えた」に登場する主人公の無実を信じる刑事は本当にかっこいいです。表題作は勘違いと無知から陰謀に巻き込まれた少女と彼女の正体を知ったギャングのささやかな出会いが温かいだけに切ないです。2012/12/14