内容説明
戦後、日本近海には自国防護のためと、米国の対日飢餓作戦によって敷設された無数の機雷が残された。この封鎖された日本の港を再開させるため、危険を覚悟で掃海作業にあたった人たち、それは大半が職を失った復員兵であった。その後、朝鮮戦争にも赴いた彼らだが、その活躍や殉職者の存在は、長い間秘匿されてしまう。しかし、戦後復興も日本の独立も、彼らの活躍がなければなし得なかったのだ。湾岸戦争後にはペルシャ湾でも実力を発揮。まさに日本が誇る職人集団である彼ら「掃海部隊」の全容を初めて明かす!
目次
対日飢餓作戦
充員招集
モルモット船
海上保安庁誕生の背景
悲しみと喜びと
朝鮮戦争への道
指揮官の長い夜
特別掃海隊出動!
朝鮮戦争の真実
忘れ得ぬ男
海上自衛隊誕生前夜
水中処分員の仕事とは?
漁業と掃海
遙かペルシャ湾へ!
最後の木造掃海艇
著者等紹介
桜林美佐[サクラバヤシミサ]
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作した後、ジャーナリストに。国防問題などを中心に取材・執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やす
10
機雷掃海にスポットを当てたノンフィクション。日本が平和を維持できるのは憲法があるからではなく、現場の人々の力と想い、技術の継承である。戦後すぐ~朝鮮戦争期の苦難には胸をうたれた。(日本と韓国の掃海部隊の交流は知られてもいいと思う。向こうは黒歴史扱いするかもしれないが。)ペルシャ湾での活躍の裏側ではやはり湾岸戦争での決断力のない日本の政治のしわ寄せがきていたんだなと思うと悲しくなった。2017/08/11
チャゲシン
0
戦後、民間の商港まで機雷封鎖された(国際法違反)日本の海を命懸けで掃海し、航路を切り開いていった男達がいた。戦争を法規した憲法を発布させておきながら、米軍の命令で38度線を越えて朝鮮の戦場の海に駆り出された男達がいた。まさに日本の国際法違反を裁く裁判が開かれている最中に。触雷し死者が出ても戦死認定はされない。日本は戦争を放棄したのだから。だがオンボロの掃海艇での彼らの必死の努力が米軍の信頼を生み出し、日米講和条約を有利に締結する一因となったとか。多分にもっと政治的な理由だと思うが。いやしかし感動の一冊!2018/04/12