内容説明
帝国陸軍最後の組織的犯罪、天皇を護る近衛兵はなぜ反乱軍となったか?昭和史最大の謎に迫る。
目次
1 軍都東京(九段坂;宮城の反対側―三宅坂 ほか)
2 近衛師団長殺害(近衛師団司令部への一通の親展書;ポツダム宣言 ほか)
3 畑中主犯説の誤り(終戦クーデターの関連書籍;『東部軍終戦史』改竄の謎 ほか)
4 終戦クーデターの謎(御文庫に銃口を向けたことを否認する反乱側;日本の参謀将校の組織感覚 ほか)
著者等紹介
別宮暖朗[ベツミヤダンロウ]
1948年生まれ。東京大学経済学部卒業。西洋経済史専攻。その後信託銀行に入社、マクロ経済などの調査・企画を担当。退社後ロンドンにある証券企画調査会社のパートナー。歴史評論家。ホームページ『第一次大戦』主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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六点
50
昭和20年8月15日、日本のポツダム宣言受諾を阻止せんとし、天皇陛下と禁中を守護すべき近衛歩兵第2連隊を主力とする部隊が、近衛第一師団長を殺害し、皇居を占拠するという事件が起きた。その顛末は映画『日本のいちばん長い日』で有名である。が、若き日の半藤一利にネタを提供したのは、実はこの事件の首謀者だったりするのである。映画では、終戦の衝撃で虚脱状態になったかのよう描かれているが、実は阿南陸相を主犯とする、陸軍を温存せんとする、組織維持のクーデターであった。と、いう話である。説得力十分、もっと読まれるべき本。2021/11/01
かやは
4
映画で終戦クーデターに興味を持った人や歴史ファンだけでなく、ミステリファンに読んでもらいたい本ですね(小説ではないですし、文体が独特だからちょっと読みづらくはありますが)。確かに一介の少佐の頑張りだけであのようなことをしでかせるとは考えられないでしょう。自決した陸相の葬儀に勅使が派遣されなかった事実も重い。では真相は……? (本筋からはずれていますが、硫黄島と沖縄の敢闘でポツダム宣言を引き出し「一撃和平論」が事実上達成出来ていたという指摘は目から鱗でした)2015/09/04
Sasamoto Kazuhide
2
旧陸軍近衛師団の一部によるクーデター(未遂)事件について。皇室が竹橋事件以降近衛兵を信用していなかったのも旧陸軍の体質をあらわしているのかもしれない。本当の首謀者が阿南陸軍大臣だったのではないかということ、戦後生き残った関係者が証拠隠滅を図っていたことをが書かれていました。個人的な興味としては、旧陸軍内部の永田鉄山が率いていてその後刺殺された後に東条英機がリーダーとなった統制派が国家社会主義、陸軍による統制経済を強く指向していたということ、それが枢軸国ドイツへ近づくことになったことをあらためて認識しました2013/04/28
じろう
1
終戦クーデターに関する本は少ないので興味深く読めた。従来の部下との板挟みになって自決した誠実な陸相阿南というイメージは壊れた。阿南の戦歴も敗将、部下の命を軽んじた出世志向の将軍に変わってしまった。2.26は現場将校が起こした事件だがこのクーデターは終始陸相主導で行われていた。2019/07/24
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