内容説明
美しき令嬢の残酷な陰謀。翻弄される純愛のゆくえは…「真珠夫人」をこえる菊池寛の名作。
著者等紹介
菊池寛[キクチカン]
1888~1948。香川県高松市に生れる。京都帝大英文科在学中に芥川龍之介・久米正雄らと共に第四次「新思潮」に参加。1918年に「無名作家の日記」「忠直卿行状記」、翌年「恩讐の彼方に」「藤十郎の恋」を発表し、流行作家としての地位を確立。1920年には毎日新聞に「真珠夫人」を連載して新聞小説に新局面を開いた。1923年に「文芸春秋」を創刊し、芥川賞、直木賞を創設して多くの作家を文壇に送った
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感想・レビュー
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青豆
10
主人公の村川は居候先の娘の京子に思いを寄せられるも、その従姉妹の倭文子を好いており、倭文子も村川に好意を抱いている。二人の間に愛が芽生えた頃に村川が誤って京子に接吻をしてしまい村川の事が好きな京子は両思いなのだと勘違いした事から悲劇が起きる。村川と倭文子の仲を引き裂こうと様々な企みを画策する京子と、京子の企みに翻弄される村川と倭文子。昼ドラ要素盛り沢山であり真珠夫人を越える名作というのも頷ける。昼ドラのジェットコースター的展開がお好きな方にお薦めの作品。2014/07/23
cogeleau
0
当初は朝日新聞に連載されたが「接吻」というタイトルからしても非常に大きな評判を呼んだ。代議士邸に居候する村川は、ふとした事から邸内に寄寓する倭文子に恋情を抱く。しかし代議士令嬢の勝気な京子も村川を愛し、三つ巴の騒動に発展する。「接吻」という愛情表現の行為がここでは重要な物語の転換点となっている。一番気になるのは、親を亡くし親戚の世話になっている娘がどのような人生を送るつもりなのかが見通せず、漠然と良縁に従って嫁入りを待つ姿勢なのが哀れだ。自由に生きることが女性にとっては厳しすぎる時代だったのかも。☆☆☆2023/01/24