内容説明
私たち人間の脳は、原始時代の厳しい環境を生き延びるために、注意分散を初期状態(デフォルト)としてきた。つまり、私たちは、マインドワンダリング(アイドリング)を常態としてきたのだ。そのため、私たちが仕事・勉強・練習など、注意を要する活動に意識を向け続けることは、困難なのである。とはいえ、私たちは、過去のできごと、未来のシナリオ、自己の内面への埋没等々、頭の中で渦巻く数多の妄念やチャッターに囚われ、肝心のタスクから注意を逸らしながらも、平然と外の活動に取り組むことができる。たとえスマホ・ソーシャルネットワークの影響で私たちの注意散漫状態がより一層進行していても、である。本書の目的は、デフォルトモードネットワークとワーキングメモリのあいだで繰り広げられている、注意散漫と注意集中の鬩ぎ合いを,等身大の私に立脚して理論的に論述することにある。
目次
序論
1 脳の初期状態とは何か
2 「脳のデフォルト」モードネットワークとワーキングメモリ
3 注意関連システムとしてのワーキングメモリ―音韻ループと視空間スケッチパッド
4 デフォルトモードネットワークの圏域―メタ認知・俯瞰と解離
5 長期的利益行動と楽しさという報酬―注意・集中の至高としてのフロー体験
結語
著者等紹介
中井孝章[ナカイタカアキ]
1958年大阪府生まれ。現在、大阪公立大学生活科学研究科教授。学術博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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