内容説明
本書の目的は、世界における三項図式を、世界の媒体としての言語における「聖・俗・遊」へと読み替えた上で、「聖」・「俗」において言語が使い手によって従属・支配されている状況を打開するとともに、「遊」において言語が自らの独自性を発揮することができる途を模索することにある。つまり、言語は次の理路を辿る。言語における「聖」としての「言霊」に始まり、言語における「俗」としての、「日常の道具的言語用法およびその延長線上の言語道具主義」を経て、言語における「遊」としての「遊び的言語用法」へと物質化・無意味化し、そして言葉遊び(ナンセンス)という理路を辿り、最終的に「言語が自ら遊ぶ」言語遊戯へと到るのである、と。
目次
序論 「聖→俗→遊」という言語遷移
1 遷移する貨幣―言語の遷移を考える指標
2 言霊あるいは現実を動かす言葉「聖」
3 道具としての言語「俗」
4 遊びとしての言語「遊」―現実との癒着からの離脱
5 遊戯としての言語「遊戯」―実験小説『母の発達』を中心に
著者等紹介
中井孝章[ナカイタカアキ]
1958年大阪府生まれ。現在、大阪市立大学生活科学研究科教授。学術博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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