内容説明
突然両親を失いイギリスのおじの屋敷へ引きとられたメアリ。つむじまがりだった少女は、病弱なコリン、動物と話ができるディコンに出会い、ガーデニングを通じて心を開いていく。3人の子どもたちのひたむきさが、大人たちの心をも癒していく『小公子』『小公女』を書いたバーネットの感動の物語。
著者等紹介
バーネット[バーネット][Burnett,Frances Hodgson]
1849‐1924。イギリスで生まれ、のちにアメリカに帰化した小説家、児童文学作家。イングランド北部で、裕福な商人の家に生まれたが、3歳で父を失い、その後母が引き継いだ家業が傾き、親類を頼って一家でアメリカへ移住。20歳の時に母が死んで、家計のために文章を書くようになった
ラスト,グラハム[ラスト,グラハム][Rust,Graham]
1942年生まれ。ロンドンとニューヨークの美術学校で学ぶ。現在、イギリスでもっとも優れた壁画家、造形美術家と評価されている
野沢佳織[ノザワカオリ]
1961年東京生まれ。翻訳家。上智大学文学部英文科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハタ
67
英国ヨークシャー地方にひっそりと佇むミッスルスウェイト屋敷、その広大な庭には誰も入る事の出来ない「秘密の花園」が存在する。青々と生い茂る新緑、飛び回る小動物達、そして咲き乱れる優しい花々。運命の根幹たる秘密を育む緑の扉の向こうには・・・・美しい情景と生命溢れる花園の力により少年少女達が生きる息吹を取り戻す奇蹟の物語。この生き生きとした描写と暖かみに包まれたストーリーラインは読んでいるこちらも幸せになれる素敵な時間を貰う事が出来ました(^-^)2016/03/04
ぶんこ
62
両親に放っておかれ、召使いにわがままいっぱいに育てられたメアリ。10歳の時に両親がコレラで急死。インドからイギリスの伯父に引き取られます。幼い子供が親の愛情を受けずに育つとどうなるか。お屋敷にいた伯父の子コリンも親の愛を受けずに育ち、長生きできない子として寝たままの時を過ごしていました。2人の可愛げのない子ども。お屋敷の10年間閉ざされていた秘密の花園が、この頑なで不健康だった子どもが劇的な変化を遂げます。草花や風、生き物の持つ魔法って、本当にある!そう思わせてくれました。ディコンとスーザンが素晴らしい。2021/09/19
はる
62
梨木香歩さんの「物語のものがたり」を読んだ後だったせいか、凄く面白かったです。もう、わくわくする場面ばかり。野沢佳織さんの訳も自然で読みやすい。偏屈で可愛げのない少女だったメアリ。純粋さゆえの悲劇です。彼女が少しずつ変わっていく展開は胸を打つ。物語が進むにつれて作者の伝えたかったテーマが前面に。暗く悲しい感情を持ち続けることは心身共にダメージになる。読者に向けてのメッセージであるのと同時に、当時不幸が続いた作者自身が自分を励まし、慰めようとしていたのかもしれない。2021/07/30
たつや
59
ひたすら、美しく優しいお話だなと思います。昔は孤児が今よりも遥かに多かったんでしょうね。胸が熱くなり哀しくなります。2016/12/03
detu
47
とても良いものを読ませて頂いた。鳥も植物もたいして造詣が深くもないけど好きなジャンルだし。高田郁さんにお礼を言わねば。メアリもコリンもある意味ネグレクトを受けていたのだろう。親の愛を受けぬは子の不幸。両親の死によってヨークシャーの叔父の大邸宅でマーサと出会ってからのメアリの変化は微笑ましい。次第にお屋敷の秘密を幾つか知ることに。子供の成長は自然の中で生き物や植物と共にあるのがよいと思う。学ぶものは多い。2017/03/12