内容説明
日本の庭園を取材するため、ドイツからやってきたぼくは、京都の禅寺でナミコに出会う。二度目に会ったとき、彼女は言った。「まだ、庭園の語る言葉がわからないんですか?」ナミコに誘われるままに、ぼくは「月のため息」の庭を訪れ、トラクターで田舎を訪れ、庭に隠された物語を見つけていく。同じときを過ごすなかで、ぼくは世界がささやき声に満ちていることをはじめて知るのだった。純度120%の恋愛小説。
著者等紹介
セシェ,アンドレアス[セシェ,アンドレアス] [S´ech´e,Andreas]
1968年、ドイツのラーティンゲン生まれ。大学で政治学、法学、メディア学を学ぶ。ジャーナリストであり、新聞社で働いた経験がある。ミュンヘンの科学雑誌の編集者を数年間つとめた後、デュッセルドルフ近郊にある故郷へ戻り、パートナーと田舎に暮らしながら小説を書いている
松永美穂[マツナガミホ]
1958年、愛知県生まれ。早稲田大学文学学術院教授。専門はドイツ語圏の現代文学・翻訳論・ジェンダー論。毎日出版文化賞特別賞(2000年)、日本絵本賞翻訳絵本賞(2015年)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
18
外国からやってきた主人公に次々と禅問答をしかけるナミコ。何だかムラカミハルキの小説に出てきそうなヒロインだ。2022/02/13
きゅー
13
ドイツ人の「ぼく」が京都を訪ね、そこで偶然出会ったのがナミコ。彼女はドイツ語をネイティブ同様に話し、日本庭園の象徴を理解し、禅の公案に造詣が深く、思いついたら石垣島にバカンスにいける時間とお金を持っている。彼女の父は京都に広大な土地を持ち、尺八を吹いて、二人の交際をあっさりと認め……。つまりファンタジーなんだと思う。そして文化を異にする男女の間にロマンスが生まれる。このロマンスを語り切るには劇的な結末が必要と著者は考えたようだ。彼には悪いが、その結末はますます物語の作り物っぽさを目立たせてしまったようだ。2018/10/09
Toshi
6
タイトル買い。ドイツ人ライターとナミコの恋愛話。ナミコ、エキセントリックなのか?現実味がなくてこの小説全然ピンとこなかったんですけど。ちょっと腹立たしいんですけど。僕の知ってるナミコはとても素敵な女性です。2017/10/29
サフィール
4
なんというか、とても美しく不思議な本。前作“囀る魚”が面白かったので読んでみたけど、そっか、恋愛小説なんだ、これ。その手のジャンルが苦手なのだが本作はグイグイと引き込まれた。いきなり公案が出てきたのにはビックリ! 恋愛小説に南泉斬猫をもってくるかね。 この作者には良い意味で驚かされっぱなし。 次作も楽しみだ!2017/12/09
キブシマサタ
0
【「ささやきというのは」と、ナミコはあるときぼくの耳にささやいた。「声を使った親密な交わりなの」】2018/04/07