内容説明
1923年、伝道のために妹リジーらとシルクロード最果ての地カシュガルへと赴いたエヴァ。そこで彼女たちを待ち受けていたのは狂信、猜疑、欺瞞、秘密―策略と欲望の渦巻く地で、最愛の妹ととも心離れたエヴァはしだいに孤立していく。一方、時は現代、ロンドンで暮らすフリーダは、見知らぬ人物の死亡通知を受け取ったのを機に、自らの過去と向き合うことに…。過去と現代、カシュガルとロンドン、2つの時空がつながるとき、見えてきたものとは。自由を求め生き方を模索し続けた女性たちの、彷徨える魂が綴る旅物語!
著者等紹介
ジョインソン,スザンヌ[ジョインソン,スザンヌ] [Joinson,Suzanne]
ブリティッシュ・カウンシル文学部門の非常勤職員として10年あまり勤め、定期的に中東、中国、ロシア、東西ヨーロッパを歴訪。また、旅行ライターとしてニューヨークタイムズやロンリープラネットに寄稿していた。2008年にはノンフィクシヨン「LAILA AHMED」でニュー・ライティング・ベンチャーズ賞を受賞。『カシュガルの道』で小説デビューを果たす。現在はサセックスの海沿いの小さな町で、夫と幼い子供ふたりと暮らしている
中村久里子[ナカムラクリコ]
新潟県出身。立教大学文学部心理学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かもめ通信
23
1920年代前半のカシュガルと、現代のロンドンを行き来しながら進んでいく物語。カシュガルの主人公エヴァは、キリスト教伝道団の一員だが、彼女自身の心は神ではなくバートン卿に捧げられていて、この冒険を元に旅行記を書き上げて出版することを夢見ている。一方、現代のロンドンで暮らすフリーダは、仕事にも恋にも行き詰まっていたのだが、役所から送られてきた覚えのない人物の死亡通知を機に、見知らぬひとりの女性と、自らの過去と向き合うことになる。とにもかくにも旅に出たくなる副作用つきの物語であることは間違いない。2018/04/05
waraby
4
1923年、自転車と共に伝道の旅に出たエヴァ。当時のカシュガルは、イスラム教徒のウイグル人の独立運動で成立していて東トルキスタンで、とても不安定な情勢。それと交互に語られるのは、現代のロンドンを舞台に、イスラムの若者をテーマに特別研究員として論文を書くため、イスラムの国々を訪ねているフリーダの話。そして、最後に・・・。現代のパートでは、イエメンの青年タイーブの話も重要な要素。新しい窓を開けてくれる作品でした。2016年西村書店刊。2018/12/16