内容説明
現在の東京ブーム、東京論ブームは実は、日本の社会が「シングル」化社会に移行しつつあることの反映だと私は思っている。平たくいえば、男たちは(あるいは女たちは)「家庭」よりも「町」「都市」のほうが面白いと思いはじめているのである。都市論ブーム、東京論ブームは、この「シングル」化と切り離して考えることはできない。最新エッセイ集。
目次
シングル・ソサエティ(相互尊重の精神を内包する「シングル」現象;カラオケ型社会からの脱皮;速度社会の生んだ二つの病;ひとり遊びの時代;個の主張;変容する「子ども」;コンビニエンスストア;シングル族の増加と食ブーム;猫は優雅な単独者)
からっぽの感受性(ロフト感覚;聖的な少年を描き続けた監督;装置としての子ども;プライベート・ミュージック;電子的環境が解体する人間;ハート・ウォーミングのコラムニスト;疲れたアメリカの行方;米国社会の成熟示す「プラトーン」;脱男性化)
私的東京考(戦後日本映画に描かれた東京;都市人間の生活の知恵;シングルの増加が生んだ東京論ブーム;東京の異様な突出;都市のなかの異化空間;路地裏の散歩者;孤独を慰藉する都市風景)