内容説明
なぜ、遊廓は公認され、賭博は取り締られたのか、不知火型手数入りの横綱はなぜ少数かつ短命なのか…などなど。歴史の謎を解き明かす。渡世の習俗に新たな光を当て、現代日本の世俗の底に流れる暗黙の規範を読み解く。
目次
宿命の民
三つの民俗それぞれの思想
金銀と美女
基軸通貨と民俗共存
士農工商の境界
士農工商からの囲い出し
美女
家の女とあばずれ
カタギのパトロン
男子の恋商い〔ほか〕
著者等紹介
田原八郎[タハラハチロウ]
1947年大阪市に生まれる。1972年東京大学文学部哲学科卒業。1977年同大学院(比較文学比較文化)博士課程修了。東京大学運動会ボクシング部コーチ、京都大学体育会ボクシング部監督、日本アマチュアボクシング連盟理事を歴任する
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感想・レビュー
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ぶつぶつ屋
2
本当の意味での士農工商という枠組みを理解していなかった。この枠組からあぶれた人達の逞しさには脱帽する。決まりきった職業を選べないからこそ、自分で既成事実として作っていく。人はどうとでも生きていけるのかもしれないという希望が持てた。2024/11/17
とまる
0
強さや美しさ、そうしたものは神話でも度々 神と人の境界を行き来するための通行手形となる。それが本書では遊女や力士を通して語られる。秀でた能力や容姿ゆえに境界に立つ民。また逆に それゆえに渡世の身から堅気の世界へ入ることができた民。力士や歌舞伎役者、花魁などといえば江戸の花形。しかし、誰もが憧れる 光を浴びるだけの存在ではない 境界民・渡世民としての一面はなかなか語られることがない。自分がイメージしていた江戸よりも、一段アンダーグラウンドな江戸の花形民俗学。2012/07/04
めめたぁ
0
渡世民族(主に遊女、博徒、相撲)を精神面から語ろうという試みは、納得のいかない部分もあったが面白かった。所々に歴史小説からの引用があり、歴史小説といえどもフィクションなので、こういう本で引用するのは不向きではないかと。2009/07/31