感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
林芳
1
歴史を舞台にして名もなき人たちを物語っていくものが好きなので手に取ってみる。最初は淡々とした感じかと思ったけれど、段々登場人物たちが躍動し始める。戦争という不条理の中で必死に与えられた中を生きていく。最後のポーランド軍の登場の場面は映像が浮かんできてぞくぞくした。ただこの題名はどういうこと?更に解説では最後まで内容を書いてあるというのも解説がやることではないと思うけれど。2024/09/03
qbmnk
0
1683年のウイーン攻防戦を描いた物語。児童文学だが主人公は一人ではなく、強いて言えばオスマントルコ側の若い兵士、ポーランドから参戦している領主の若い息子、ウイーン市民のパン屋の主人あたりか。それぞれの立場から見た戦争が描かれていて戦争の勝敗と善悪が連動しておらず偏りがないように見える。権力者たちの判断の仕方も本当のところは分からないが、ありそうで面白い。アジアにも接していたオスマントルコがヨーロッパに与えていたイメージが伝わる。イメージしにくかった世界史の出来事に具体性が少し付けられた気がする。2024/07/02