内容説明
赤ちゃんから高齢者まで、すべての世代にわたり日本の社会保障はかつてない危機に陥っている。「自己責任」という新自由主義的押し付けから抜け出し、本当の社会権を獲得するための道すじを示唆する本音トークをあなたはどう受け止めるか?
目次
第1章 対談 社会保障と運動、本当の話(学生・青年に広がる貧困;労働者の貧困・労働への過剰な依存;労働者の企業主義 ほか)
第2章 日本の貧困と生活保護(近代的貧困とは「労働者・勤労者の貧困」;筑豊・大牟田の住民調査から;フランスの生活保護は世帯の14%、人口の10%が扶助受給者 ほか)
第3章 自己責任社会と社会保障のあるべき姿(自己責任社会―賃金依存度が高まる日本の生活構造;「格差」と「貧困」に対処しない日本の社会保障;市場万能主義の例1―住宅形成の自己責任 ほか)
著者等紹介
都留民子[ツルタミコ]
1952年生まれ。社会保障・失業研究(社会福祉学博士)。県立広島大学保健福祉学部教授
唐鎌直義[カラカマナオヨシ]
1952年生まれ。社会保障・国民生活研究(経済学修士)。立命館大学産業社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆう。
30
なぜ社会保障は私たちの権利なのか、なぜ社会権として認められるにいたったのか、わかりやすく述べられていました。資本主義社会は必然的に失業者を生み出します。また半失業状態も作り出します。けっして失業や半失業は自己責任ではありません。だから「失業は権利」なのであり、国家が生活を保障しなければなりません。また、社会的排除論についても厳しい指摘がされていました。貧困が社会的排除とってかわるわけではありません。私たちは本質を見抜く目を養う必要があるのだと思いました。とても大切な視点を学べたように思いました。2018/02/01
toshiyk
0
労働者は賃労働に自分を捧げるのを止めるべき。資本家と自分を同一視するのを止めるべき(「侍・ジャパン!」)。失業を忌むのを止めるべき。失業者、生活保護受給者などの弱者を攻撃するのを止めるべき。失業を、生活保護を、年金生活を、権利として肯定しよう。良い待遇の職を、社会保障の充実を、求めよう。人間らしい生活を取り戻そう、という内容。もっともだとは思う。ただ、「その路が生憎見つからないのです。」という所在ない気分にもなる。道は険しい。2017/12/23