内容説明
江戸時代でもっとも有名な法令である「慶安御触書」は、いまだかつて日本全国のどこからも、発令された慶安二年当時の現物が発見されていない。このことから、偽文書ではないかと研究者の間で論争となっている。本書では、「慶安御触書」がいったい元々はどのような史料であったのか、そして、いつ「慶安御触書」として登場したのか。それは、近代歴史学の歩みや戦後歴史学の中でどのような位置を占めてきたのかについて明らかにする。
目次
「慶安御触書」研究の成果と課題
慶安御触書の源流
「百姓身持之事」から「百姓身持之覚書」へ
「百姓身持之事」流布過程の考察
「条令拾遺」の書誌学的考察
「条令拾遺」所収「百姓身持之覚書」および「検地掟」の歴史的性格
文政十三年美濃国岩村藩「慶安御触書」出版とその歴史的意義
全国における「慶安御触書」の受容とその特徴(その1;その2)
「慶安御触書」から見た十九世紀の政治社会と日本の近代化