内容説明
近代日本社会の形成に大きな役割を果たした雑誌という新しい活字メディア。その登場の経緯、読者に受容される過程、ついには大衆化するまでを緻密に描く。『太陽』『中央公論』『キング』などの興亡にみる読者層の形成史。
目次
序章 近代日本の読書変容と読者
第1章 読書空間の近代―明治の公共空間と音読規制
第2章 田舎教師の読者共同体
第3章 明治期『太陽』の受容構造
第4章 『中央公論』の受容過程
第5章 戦前の女性読書調査
第6章 初期『キング』の読者層
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ガジ
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読書調査を用いて、雑誌はどのように読まれていたのか分析している婦人雑誌の章(5章)がかなり興味深かった。1章は前田愛と大きく関わってくるし、6章の『キング』の読まれ方もよかった。雑誌の投稿欄に着目する危険性への反論を用意する必要があるな2022/06/07
Úplněk
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近代出版産業の拡大によって、それまでの反復熟読型の読書から乱読多読型に読書の形態が変わっていく過程を、読書調査や同時代の評論から読み解いていく手法が興味深かった。ただ、図書館で黙読が徹底された理由の史料的裏付けや、音読と黙読のそれぞれの意味についてより掘り下げた考察がほしかった。2021/09/26