出版社内容情報
《内容》 序
日本消化器病関連学会(DDW-Japan2001京都)における第5回日本肝臓学会大会のメインテーマを「ブレークスルーそこに生まれるコンセンサス」とし、わが国の肝疾患で最も頻度が高いB型肝炎、C型肝炎及び肝癌に関するコンセンサスミーテイングを開催し、その記録と学会での討議を参考に本書を纏めた。現時点での病態、診断、治療に関する合意事項と関連する文献を可能な限り集積し、治療と臨床研究に資することを目的とした。
最近のグローバリゼーションの波に乗り、肝疾患に関するコンセンサスあるいはマニュアル作りが世界的に進んでいる。ウイルス肝炎に関しては2000年6月に福岡で開催されたアジア太平洋肝臓学会に置けるコンセンサスがJournal of Gastroenterology and HepatologyにConsensus Statements on the Prevention and Management of Hepatitis B and Hepatitis C in the Asia-Pacific Region として纏められ、その後アメリカ肝臓学会(AASLD)でも同様のコンセンサスが纏められている。
コンセンサスは、あくまでもその時点でそのテーマに関する最先端の合意事項でなければならない。特に、治療に関する合意は世界的合意に達することは困難である。認可された薬剤や検査法さらに医療保険の適応などさまざまな環境のもとでの合意でなければならない。したがって、世界的コンセンサスのもとにその国のコンセンサスも重要である。また、コンセンサスは医療環境の変化のもとに刻々変化すべきものでもあり、常に更新して行かねばならない。
本コンセンサス作成は、2001年の日本肝臓学会大会を期に、B型肝炎、C型肝炎および肝癌に関し病態、診断、治療の部門について、18名の執筆者(発表者)が事前に論文を作成し、グループ討議を行った後、部門司会者にRecommendation を作成していただいた。総合司会者のもと学会ではオーデアンスアナライザーを駆使して、会場からの意見を取り入れ、Recommendation及び論文の改正を行った。学会場には1,300名を超える超満員の参加者を集め、新しく取り入れたオーデアンスアナライザーを用いた進行で、活気あふれるパネルデスカッションとなった。ご尽力していただいた参加者の皆様、執筆,司会に携わってくださった方々に厚く感謝の意を表する。
各種の世界的コンセンサス記録集と比較し、肝癌まで対象を広げたため部門間でいささか整合性に欠ける所も散見される。学問、医療技術の進歩は早い。Recommendation の部分は毎年改定されても良い内容である。これを基礎にわが国におけるコンセンサスが理想的に取りまとめられて行くことを期待したい。
《目次》
肝疾患診療におけるRecommendation
I. B型肝炎 II. C型肝炎 III. 肝 癌
第I章 B型肝炎
第II章 C型肝炎
第III章 肝 癌
目次
第1章 B型肝炎(病態、診断法、予後;治療)
第2章 C型肝炎(病態、診断法、予後;治療)
第3章 肝癌(病態、診断法、予後;治療)
著者等紹介
矢野右人[ヤノミチタミ]
国立病院長崎医療センター院長
林紀夫[ハヤシノリオ]
大阪大学大学院医学系研究科分子制御治療学教授
沖田極[オキタキワム]
山口大学医学部消化器病態内科学教授
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