内容説明
わたし一人を残して逝ってしまった愛する家族や皆に捧げる、幼ない頃の記憶の数々―。
目次
金沢編(前書;アイスクリーム時代;あ母さんが抱いてくれた;お乳ののみおさめ;子供服;金沢の百人一首;里見町の家;杉村の歯医者;村井さんの家;虚無僧とこやし汲みのおっさん ほか)
京城編(ブーツと長靴;オンドルの冬;宿題;弟の悩み;大人になりたなくない;入試;ゼリー物語;雲蒸露湛鳶飛魚躍;結婚相手の教生の先生;台所のお燗番;クラスメート)
終焉(一升びんと帽子;マリア・テレジア・ジャンス・ダーク;父との汽車の旅;征き征きて;脳溢血;母の死)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
葉子
9
下着デザイナーである鴨居羊子が書いたエッセイ。語り口調がカラリと威勢がよく愉快な気持ちになる。戦争についての記憶や父母の死など決して楽しい記憶ばかりではないのにそれもひっくるめて「わたしのものよ」というタイトルに胸を打たれた。あとがきにも書いてある「もう失敗しないから来世でもまた一緒に暮らそうよ」というメッセージも含めてこの人は家族が大好きだったんだな。2024/08/22
あかいろ
8
著者の思い出話のエッセイですが、トーキー映画のように情景が目の前にすっと浮かぶ、小粋な文章。読んでいるうちにうっとりとした気分になります。しかしこちらも半分ほど読んで諦めてしまいました。ちょっと今のわたしにはあわなかったようです。エッセイは、著者のことを知っているから読めるときと、知らなくてもさらりと読めてしまえるときと、極端にタイミングを選ぶ形態の本なのだと体感しました。2015/08/27
みずいろ
2
何があろうと、思い出はいつまでも「わたしのもの」だ。もう二度と会えない人も、わからなかった涙の理由も、そのまますべてわたしのもの。それでいい。2012/03/18