内容説明
新撰組局長芹澤鴨の盟友として京に赴いた水戸藩郷士平間重助。芹澤暗殺の夜、重助は驚愕の事態に遭遇した。幕末動乱に翻弄された一郷士の流転を、異色の作家(建築家、前北茨城市長)が書き遺す。
著者等紹介
村田省吾[ムラタショウゴ]
1946年3月、茨城県北茨城市大津町に生まれる。茨城県立水戸第一高等学校卒業後、芝浦工業大学建築学科入学。同校卒業。山下寿郎設計事務所(現、山下設計)入社。1979年帰郷し、設計事務所を主宰する。1995年、北茨城市長に就任(三期)。2016年1月17日歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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田中峰和
4
主人公平間重助は武士と農家の中間層に分類される郷士だが、名字帯刀の特権も与えられる、表題通りの「半武士」。著者は茨城県の北茨城で市長を務め、文筆は本業でない「半作家」なのが興味深い。地元の著名人なので、芹沢鴨についても司馬遼太郎やほとんどの作家が書くように極悪非道には描かない。むしろ自分で手も下さず部下に命じて芹沢を暗殺した近藤勇を悪人扱い。芹沢鴨上京の際も、平間は分家せいでお目付け役を命じられた。土方等による暗殺現場から逃れ出奔したことで有名な人物だ。半武士とはいえ、己の誇りに殉じた生涯が描かれる。2019/04/18