出版社内容情報
現代日本の性暴力は、ナショナリズムとジェンダーの複合した形で現われている。具体的には、「アイドル」と「慰安婦」問題を中心に、戦時と現代に共通する「性の商品化」「身体の経済化」の問題として、文学作品や風俗のなかに鮮やかに浮き彫りにする。好評だった前著に、さらに「ジャニーズ」問題という男性アイドルをめぐるスキャンダルにも同じ構造があることを指摘する。
* 現代の日本にはびこる「見えない暴力」のルーツを近代日本の歴史、文学のなかに暴く。
*「おやじ的権力」と「アイドル」「慰安婦」そして結婚制度内の女性の関係を
「見える化」する。
*ジャニーズをめぐる性加害は以前から噂にはなっていたが、「見て見ぬふり」されてきた。この日本独自の感性を「伏字的死角」の働きとして鮮やかに解読。
内容説明
「アイドル」と「慰安婦」、さらに「ジャニーズ」から見えてくるもの。「アイドル」「慰安婦」という記号を手がかりに、性暴力の歴史的な構造を浮き彫りにして好評だった旧版に、新たに「ジャニーズ」という男性アイドルをめぐる問題を論じた章を追加。帝国日本のフィクションと現代的な暴力のしくみに多面的に迫る、増補新版。
目次
第1部 アイドルとナショナリズム(アイドルと戦争の風景;アイドルとJKの間;ポルノグラフィと傷;革命とジェンダー)
第2部 「慰安婦」をめぐる想像力(「慰安婦」と情動;戦争と恋愛のトリック;記憶のなかの戦時性暴力;ジャニーズ文化と見えない性暴力―帝国のファンタジーを読み解く)
著者等紹介
内藤千珠子[ナイトウチズコ]
1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、大妻女子大学文学部教授。近現代日本語文学、ジェンダー研究。著書に『帝国と暗殺―ジェンダーからみる近代日本のメディア編成』(新曜社、2005年、女性史学賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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