内容説明
若者の心に巣くうオカルト思想の意外な正体とは!?オカルト流行の本当の姿と背後に潜む意味を実証的データと歴史的視点から徹底究明!科学とオカルトの超克へ向けて。自前の実証的調査研究に立脚した分析。心霊研究・超心理学や近代科学史を踏まえた現代オカルトの位置づけと特徴の把握。専門家の視点によるオカルト流行の歴史的・深層心理的構造の解明。科学信仰とオカルト信仰の双方を同時に超克する新たな世界観の提示。
目次
第1部 オカルト流行の社会心理学(超心理学の社会的需要と受容;オカルトとカルト;超常的信念を規定する社会心理的条件)
第2部 科学文明の中の生と死(死生観のパラダイム転換;死生学の展開;死後の生命の科学?;科学と、その影としてのオカルト)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨミナガラ
10
“第一に、情報化社会の問題。〔…〕自我も確立していないうちから〔…〕圧倒的な宇宙像に直面して、現代の少年少女は〔…〕「なぜ、今、ここにいるのか」の問いを問うことに誘い込まれがち〔…〕。第二に、アイデンティティ不安の問題。〔…〕ノッペリした大衆社会の子どもたちには、「私とは何か」への具体的な答えの手がかりが少なすぎる。〔…〕輪廻転生観は〔…〕このような時代を背景とし、「なぜ、今、ここにいるのか」〔…〕という問いへの解答を与えうる世界観として、前近代的宗教の残骸の中から甦り、若者たちの心をとらえつつある”2014/05/17
SKH
7
オカルトとそれに付随する心理を考察。主に、ユングの深層心理学とマズローの社会心理学を軸に論説。2014/12/13
mittsko
5
超心理学に肯定的な中村先生が第一部を、批判的な渡辺先生が第二部を執筆。前者では超心理学、カルト、オカルト信仰が、後者では死生観、死生学、死後生、科学批判(これが渡辺先生の超心理学批判の要点だ)が、それぞれ取り上げられる。総括はなく両論併記。著者お二人ともが、各々自前でおこなってきた実証的調査研究の成果に、部分的にであれ、もとづくのが特徴的だ。オウム事件の余波がまだまだ強く残る1998年刊。しっかりした著作で勉強になった。時代の証言としても興味深い2023/08/25